第69期 #2
事実だけを話そう。余計な気持ちなんていらない。
もう一度。
事実だけを話そう。
ただ私はクラスの一番のイケメン、大輝君に告白しただけだったのに……。いけなかったのは、その現場にクラスメートが通りかかったということ。
シャイな性格の大輝君は照れてしまった。そして、返事をした。
「ごめん……、僕、恥ずかしい」
あーあ。まぁこういうこともあるよね。ちなみに通りかかった子は私の一番の親友、由美子。その後かなり謝られたけど、悪気が無かったし、許してあげた。
その日は部活があった。私は女子ソフトボール部でピッチャーをやっている。一球一球に気持ちが込められたので、先ほどのことなんて忘れていた。
だが問題は、終了後、着替えている時。外で話声がする。
「私、大輝君のことが好き。付き合ってください!」
え。突然のことに驚き、耳を傾けてしまった。(ダメなこと)
「う、うん。ありがと……」
……爆。やっぱり大輝君だった……。ねぇ、私が聞いているんだよ。恥ずかしくないの?
追い討ちをかけるように、大輝君に告白していたのは、由美子だった……!
どうやって家に帰ったのか分からない。
私の気持ちは「悲しい・悔しい」の二つに絞られていた。
やっぱり、気持ちが入り込んでしまった。
最後に言おう。
事実だけの小説は、駄作に過ぎない。