第67期 #12

規定

※作家Mと担当Hの会話より抜粋。


「私は常々貴様らに言いたいことがあるんだ」
「はぁ」
「はぁ、とはなんだはぁとは!この儂がわざわざ言っているのだぞ」
「ああ、すいませんどうぞどうぞ続けてください」
「全く…… まぁ良い。儂が言いたいのはこのXXX賞の規定についてなんだ。
 なんだこの規定は。」
「はぁ、どこがいけないのでしょうか。」
「応募枚数、原稿用紙350〜400枚だと?」
「はぁ」
「これはどういう事だね。なんで枚数制限があるのだ?栗栖川栗栖の県名シリーズだけを読んでいて作家を志した人はどうする?皆が皆 京極春彦の本ばかり読んでいる訳ではないのだぞ!」
「県名シリーズには長編も含まれていたと思いますが…… 」
「それになんだこの規定内の文章作法とは! やれ”感嘆符のあとは一文字アケ”だ、”行頭禁則文字”だ〜? これはどういう事だね。東尾維古の本を読んで作家を目指した人間はどうすれば良いのだ!?」
「ああ…… 」
「これはけしからん!速急に変えたまえ。これでは応募できない人間が沢山出るだろう!儂もだ!」

「……でも規定を守れないのなら所詮そこまでの人だった、という事ですよね。」

「……。 」
「それでは失礼いたします。」



※(自称)作家MとXXX新人賞広報担当者Hの電話より抜粋



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