第65期 #7
「あした、はれるかな。」
「はれてほしいのか?」
「ううん。あめになってほしい。」
「どうして?」
「なんとなく」
「そうか…あめはすきか?」
「きらいじゃないよ。」
「じゃあ、すきでもないのか?」
「わかんない。とくべつすきじゃないのかもね。」
「じゃあなんであめになってほしいんだ?」
「きょうははれたから、あしたはあめのばん。」
「じゃあ、あさっては?」
「あさってはね、う〜ん、ゆき。」
「ゆきか。いいね。ゆき。」
「そうでしょ?」
「ああ。そうだ。」
「ねえパパ、」
「なんだ?」
「なまえ、」
「なまえって、おとうとのか?」
「うん。」
「それで?」
「そらにしよ。」
「どうして?」
「そらはね、いちばんおおきいの。わたしのしってるなかでいちばん。」
「そうか。」
「それでね、そのおおきなそらをわたしがそだてるの。」
「そうか。」
「じゃあおまえはそらよりもおおきくならないとな。」
「うん。」
「がんばれ。」
「うん。」
「じゃあきょうは、もうおやすみ」
「うん。おやすみなさい。パパ。」