第65期 #11

チョコっとした小説

「俺はあいつが嫌いだ」ということはよくある。俺もそうだ。和明を見ているとイライラする。「25年前のことだから時効だよ」と友人から宥められても心の中は「許さない!」状態だ。
25年前の2月14日、俺はチョコをもらえるなど思ってもいなかった。しかし放課後、クラスのマドンナ的な子からチョコをもらった。家に戻り、ポケットに入れていたチョコを食べようとポケットを探ると、チョコはどこにもなかった。すぐに「和明だ」と察知した。一緒に帰っているときに盗んだのだろう。それ以来、俺は和明が嫌いだ。



Copyright © 2008 中木寸 / 編集: 短編