第61期 #3
また少し涼しくなった。
蝉の声も無くなり通りの並木も色合いを変えたようだ。
ここへ来て三回目の秋。
それは長くて短くて。
そしてあの人が去る。
この街からあの街へ次は誰かが去り僕の知らない空白の時間を創る。
そしていつか僕の姿を消すときがくるのだろう。。。
この街からあの街に変わったとき誰も知らない自分の空白を生めるように。
今はただただ誰かが居なくなるのを見つめて焦燥感に浸るだけ。
この街で初めてみた景色や今みるこの空間も懐かしさを通り越して儚く見えるだけ。
寂しさを紛らわし次に再開したときの布石として「立派になれよ」とか空白の時間は僕に色んな課題を与える。
時には強かに時には悲観的になることの繰り返し。
傍観者には関係ないこと、自分だけの妄想なのはわかってる。
だけども心の中でしか出来ないもどかしさいつか無くなればいいのにな。
仕事から家路に向かう時間も人混みが一層、自分と対照的な存在に見えてくるんだ。
桜の香り、新緑の力強さ、洗練された紅葉の色、冷たい風波。
一年は早いくらい彩を変えて・・・
形には出来ない無限のループ。
じわっと目からくる何かをこらえつつも大型のバスは忙しげに都市高速に去っていった。