第61期 #2

あたしのすべて。

今日は珍しく朝早くに目が覚めた。枕元に置いてあった携帯を開いてみると6時7分。
『2時間しか寝てないんだ・・・』
いつもなら昼過ぎくらいに目が覚めるのに。昨日飲み過ぎたせいかもしれないな。
あたしは何を思ったのか寝起きにしては軽い足取りで窓辺にむかった。カーテンを開ければ外は快晴。それでも何もする気が起きない。かえって不愉快だった。外の世界にうんざりしてあたしはまたベットへと戻った。どこに行こうとか、何をしよう、そんなことが考えられなくなってきている。二十歳を過ぎた頃からだったかあたしの毎日は灰色になった。それがもう2年も続いているんだ。
目標もなく生きる人生はつまらない。目標を見つけようにもみつからない。
だから毎日いい加減、そして適当に生きてるんだ。学校にはもちろんバイトにすら行きたくない。そこで目にする夢に向かって目標を持って生きている人間を見ると暑苦しいと感じるようになったから。でも、それはただ羨ましさの裏返しなのかもしれない。
どうしてあたしは夢を見れなくなったんだろう。
夢を見るだけ無駄だと思うようになったのはいつだったっけ。
いつもなら夢の中にいる時間に起きているからこんなことを思うんだろう。
あたしは体の力を抜き再び眠りにつこうとした。
現実の世界にいるのは辛すぎるから。
現実世界で夢を見れなくなったあたしには夢の世界こそが全て。
このまま夢の世界だけで生きていくことがあたしの夢。
誰にも理解されなくたっていい、これがあたしのすべてだから・・・。



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