第56期 #18

ははは

 彼は月末の9才の僕だった。ははははじめてのお使いを彼に命じて、お札が沢山入った(あの五千円も)財布を渡した。それだけで彼はウキウキなのに、忙しいお母さんを助くヒーローで、しかもなんと偶然お母さんの働くスーパー。ははははは。
 暫く歩き回って、レジの近くにいつものきらら395をみつけたきらきらした目は、突然コシヒカリとかいうのも米であることを直知して、棚に貼られた値札のシールをすらりと一通り浚った。とりあえずきららは1680円(一番安い)だったが、彼は遂に3480円を見つけたんだ。茶色い紙袋に入った立派なお米は、「魚●郡産コシヒカリ」というみたいね。彼は財布を取り出した。千円札が一、二…、あっ、五千円札がある。買い物篭にお米を積んで、お使いはあと…、と歩き出したらなんとそこに古代米。2kg2180円。赤くて面白いから交換!
 財布にはお金があるし、お母さんに楽させたいから重い牛乳を五本、しかも一番高い●●●分4.2%の。そうしてレジに並んだら、なんとあっちのレジがお母さん。遠心力でマザコンロード。
 彼はお母さんをずっと見てたよ。でもお母さんは忙しくて彼に気づいたのは前のパーマばばあの時だったんだ。彼にスマイルくれたけどその後びっくり。普通逆だね。お疲れさん。“古代米がお一つ、4.2牛乳が5つ、ポテトチョコチップクッキーが5つ。合計4580円になります。”バーコード音がおもろい。いいな。彼はお母さんの財布から五千円を取り出したんだ。そして得意げにしたんだ。でもははははははともせず、慣れた手つきで硬貨を渡した。
 荷物を纏めている間も機械的だった。はははともせずただあのピッという音を延々と鳴らし続けていた。店の入り口には、北風に晒されて半分剥がれかかった紙が何とかガラスにへばり付いていて、吹き付けの具合でパートだとか650円〜だとかの文字が垣間見えた。寒いな。運動だ。彼はそう思って遠心力で家に帰った。
 ははははじめてのお使いを褒めてくれた。数日は赤飯だった。でも僕は分かってきた。何故僕を買い物にわざわざ――。僕は母に言った、「僕は大金持ちになる。大金持ちになって、好き放題買い物する」と。ははははははと笑った。僕は一生懸命勉強した。一生懸命勉強して東大へ行こうと思った。だけど浪人。予備校代65万円。ははははははと1000時間。僕はろうそくの中でははは。昔を思い出しながらははは。



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