第56期 #12

俺の彼女

オレの彼女は、激カワ。美和っていうんだけど。
足は長いし目も大きいし、何より色白だ。
胸だってツンって、上を向いているしね。
足首とかも、もうたまんない。
歴代の彼女の中でも、一番いけてるんじゃないかな。
最近のコには珍しく、おしとやかという点も
オレは気に入っている。
例えばカラオケに行っても、オレに必ずマイクを譲ってくれる。
そして、歌をジ〜ッと聞いてくれたりするんだ。
落ち込んでいる時は、そっと傍に座って無言で慰めてくれる。
口下手だけど、またそこがいい。
なんだかんだあったけど、2人の距離は、
ここ最近でだいぶ狭まってきたような気がするな。
実はこないだ、美和と始めて一緒に風呂に入ったんだけど、
恥ずかしがって、あいつ全然脱ごうとしないから、
オレが代わりに脱がしてやったよ。
身体の間接がどうも曲がりにくそうだったから、
それもほぐしてやった。
その後?それは、想像に任せるよ。
オレは言いたくない。
それを言うと、あいつが汚れてしまいそうで言いたくないんだ。
3歳の甥っ子は、生意気ながら、
あいつを見て「『聖マリアンナ戦隊』のミキじゃん」って言いやがった。
もちろん、ぶん殴ったよ。

今度もう一度言ったら、間違いなく殺す。
ミキとは違う。全然違う。
ミキはそのあたりにもいっぱいいるけれど、美和は違うんだ。
1年前、ショーウィンドーのガラスケースの中に
閉じ込められていたあいつを、オレが全力で助けてやった。
店主が慌てて追いかけてきたけれど、2人で手に手を取って逃げたんだ。
それが、俺たちの出会い。なかなか、ドラマだろ?
「メイド・イン・チャイナじゃん」なんて笑ったやつも、ネットで血祭りにしてやった。
今度もう一度言ったら、間違いなく殺す。
生まれも育ちも、日本だ。ナデシコ。
美和には、ちゃんと心がある。
そして、オレに恋をしている。
オレのバンダナにくるまって寝ているあいつの姿、
あんたにも見せてやりたいよ。
天使って、きっとああいうのをいうんだぜ。

そうだ、今度ウチに来いよ。
歴代の彼女なら、ケースごとあんたにやるからさ。



Copyright © 2007 shedshed / 編集: 短編