第50期 #27

お茶と光のパレード

【バっ、とさしだしましたるこの両手、生まれてこのかた二〇年、殿方の手を! 握った事が! ございません!
 その手をこう! 右と左の掌を近づけてみやしゃんせ。ほら、その間に白い靄が浮かんじゃう!
 え、見えない? そうか見えないか。残念! あはははは。】

 毎月最終土曜は【放課後女子の会】と決まってる。私は6時に起きていざワゴンRを走らせKちゃんちのある西へ山梨へ。
「遅いっ」
 Yちゃんが先にKちゃんちのティー・ホール(二〇畳もあるからルームじゃない)に到着していた。Kちゃんもお茶の仕度を始めてる。
 お嬢様のKちゃんちはお屋敷で、その二階の、光が、一番に降りそそぐここで私たちは放課後を再現する。
 もともとKちゃんの亡祖父さまの書斎で、光あふれる窓辺の反対側の壁一面の本棚にあった蔵書(元生物学教授!)はきれいさっぱり移動させてあって、そこにダージリンウバアッサム鉄観音玉露凍頂烏龍……、と私たちが収集したお茶が陳列してある。そしてそれらお茶の葉は私たちが好きな色に、赤黄青パープルグリーングレイ……、に塗りたくった缶に保管してある。
 【茶】棚に光があたると、カラフルな缶たちが、いっせいに輝きだす、部屋。私たちはこの光の空間でお喋りする。いたる所に光光光、色色色、茶茶茶、そして、私たち、三人。

「見えるの私だけじゃん!」
 私の今朝の夢を話したらKちゃんが言った。
 おばけや白い靄(オーラ!)がKちゃんには見えちゃう。ちなみにこの技に驚かない事が会員資格(だから学生の私。二四歳お嬢様のKちゃん。二七歳会社員のYちゃん。とばらばら)だ。
 ともあれ今日の議題は男子との接し方。
【いいなと思う】
   ↓
【でもびびって話せない】
   ↓
【気づくと彼女できてる】
 という私の千篇一律を話すとYちゃんが成長しないねと笑った。
 でもYちゃんだってしょっちゅう彼女持ちか妻子持ちに引っかかって泣くから同じだ。同じこと繰り返してる。
 でも、いいえ。私たち諦めてない。いつか! いくら同じ過去が繰り返されようとも! 素敵な現在を(とそこで唐突にKちゃんが言った)。
「羽根でてるよ!」
「あ、ごめん」
 Kちゃんだけにしか見えない、私の守護天使(!)さまの羽根が背中からはみでていたらしい。私はそれを直す仕草をした(見えないから振りだけ)。
 そう! 素敵な現在をひきよせ! 必ず未来を! きっと! 光かがやかせるつもりですから!



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