第48期 #19
大学から帰宅しベッドに倒れこんだ。目的のない日々の繰り返し。無意味に疲れている。このまま眠ってしまおうか。それでも胃袋だけはせっせと動いているようだ。のっそりと起き上がり台所に向かう。
−トゥルルルルルルルルル!−
けたたましく電話が鳴った。
「もしもし」
「あっ、あんた!いるの!?いるならでなさいよ!」
母さんだ。
「母さん3分置きに電話してたのよ!なんででないのよ!3分間でけっこうなことやったわよ!」
「今帰ったんだよ」
「また始まった〜。すぐうそつくのはあんたの悪いくせ!母さんすぐわかる。」
「ほんとだよ。なに?」
「あんた、野菜とか食べてんの!?バカになるよ!」
「はいはい。食べてるよ。うるさいな」
「うるさいなってあんたは!母さん心配してあげてるのに!ほんとそういうとこかわいいわね。料理とかちゃんとしてるの?」
「してるよ」
「そうなの?母さんあんたに手料理つくってあげられない悔しさで歯ぐきから血がふきだしてるわよ!ほんとに。じゃあ気をつけてやりなさいよ!」
−ガチャ−
切れた。気をとりなおしてめしを食おうとしたその矢先
−トゥルルルルルルルルル!−
「もしもし」
「母さんだけど、ちゃんと勉強やりなさいよ!」
「わかったよ」
「ほんとあんたはやればできるから。ほんと尊敬するわ…。やりなさいよ!」
「あー、わかったよ!」
「これガチよ!」
「わかったよ。他に用は?」
「ないよ!じゃあきるわよ!ほんとそういう憎たらしい態度がまたたまらなくかわいいんだからこの子は!それじゃあね!愛してるわよ!」
−ガチャ−
ふー、と一息ついたその矢先
−トゥルルルルルルルルル!−
「もしもし?あんたを腹を痛めて産んだものですけれども?あんたね、ちゃんと自立して将来のこと考えなさいよ!母さんもう更年期障害になりましたからね!面倒みきれないわよ!」
「わかったよ」
「頼むわよ!じゃあ愛してるからね!あんたも愛してんの?母さんその沈黙は愛してるととるわよ!じゃあね!」
−ガチャ−
やっと終わった。ほんとしょうもなくかわいい親だ。