第47期 #3
「誰かを好きになるということは、素直になることだとは思わないか?」
どこかで聞いたような言葉。
しかし、これは間違っていると思う。
世の中には素直になれない人間が、誰かを好きになることがあるからだ。
ましてや素直になっちゃいけない時もある。
それは相手が幼稚園児の時だ……違う。違くないけどこれは違う。
恋愛対象が血縁者だった場合だ。
ましてや、これが自分の生みの親だったり、子どもだったりすると大変である。
まあ、兄妹までは許そう……いや、許しちゃダメだ。これもイケない。
時として国境を超えた愛なんて聞いたことがある。
種を超えて愛し合う2人なんてとてもロマンチックだ。
欧米人種と秋田犬の雑種との恋……とてもロマンチック……いや、これはロマンチックじゃない。むしろ危険だ。
このように、時として、素直になっちゃいけないことがままあるわけだ。
でも……『好き』という気持ちを素直に伝えるのは悪いことじゃないと思う。
「ねえ……アンタにちょっと言いたいことがあるんだけど……」
「なんだよ?」
「ア、アタシね……ずっと前からアンタのこと、す、好き……だったんだ……」
「キモっ……お前、キャラ違うぜ」
……そう、このように、時として、素直になっちゃいけないことがままあるわけだ。
「あ、アンタってヤツはーーっ! 人がせっかく素直になったのにーっ! バカーーーッ! 大ッ嫌いーーっ!!」
「いたたたたぁ!」
「どーせ、アタシは……やっぱ、アンタなんか大っ嫌い」
「……ふふ、やっぱ、お前はそうじゃなくっちゃな」
でも、心が通じているなら、別に素直になれなくてもいいんじゃないかな?
人を好きになるということは、『自分に』素直になることだから。