第45期 #2

黒い骨

母が死に、父も死んだ。泣き言は言わない。それが僕らしいから。だけど、見た目だけで子供だとか大人だとか、そんな勝手に散らばっている記号で僕にレッテルを貼るのはやめて頂きたい次第である。 燃え逝く人間に残されるのは、骨と灰になった肉片だけ。あまりにも虚しくて、今にも嗚咽(おえつ)しそうだよ。残された骨は何を思う?平和とか幸せっていう意味知ってる?知らないよね、それが幸せだもん。父の骨と母の骨は形が似ている。互いに歪(いびつ)な形はしているものの、固定概念が同一物と認識してしまう。不可解な話しだまったく。でもこうやって眺めると、骨のくせに随分と自由に見える。かなり生意気。とかなんとか言ってみても、所詮骨に過ぎない。後(いずれ)僕も死んで骨になる。その時は僕の骨も自由に見えるのだろうか?いや、きっと無理だ。僕の骨には、あまりにも哀しみが染みこみすぎた。僕の骨はこの責任を一生背負っていく、黒い骨なのだ。



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