第45期 #13

happy monday

 彼女にとって僕は三人目の男。どうして僕が三人目なんだ?、僕が聞くと三人目がちょうど良いのよ、と彼女は言う。僕が大体彼女と会えるのは月曜日の夜から火曜日の朝にかけて。ブルー・マンデーの夜には貴方が良い、彼女は言う。金曜日の夜から土曜日の朝への時間と土曜日の夜から日曜日一杯の時間は一人目の男と二人目の男が彼女と過ごす。週末は彼女は誰かのもの。僕は月曜日の夜を特別なものにするように週末はしっぽりと計画を練る。いかにブルーなマンデーをハッピーに過ごすか。僕の週末は月曜日のために失われる。僕が厳選し尽した末のバーなりパブなりカフェなりは月曜日には無頓着、月曜日にはあんまり気合が入りませんね、だってブルー・マンデーなのだもの。おまけに営業していない店が殆んどだ。月曜日は人々の娯楽のためには用意されていないらしい。僕は彼女と付き合うようになっていかに月曜日が人々から疎まれ損なわれているのかを痛感したものだ。月曜日は倦怠と溜息と煙草の煙に包まれている。僕だけが月曜日に唯一生き残った戦士のようだ。戦いの火は日曜の午後に凡そ鎮火されたようだった。骨から灰へ、灰から塵へ。月曜日の映画館は僕と彼女だけ。週末に封切された映画群は大体が月曜日には既に終息への残り香をほのかに匂わせるだけ。週末に散々美味しいものを食べた彼女は月曜日には食傷気味、あっさりしたものがいい。そういう彼女を僕は家に呼んで雑炊を作る。ホントはパエリアだったりパスタだったり得意の料理を作ってあげたいのは山々だけれど僕はただ月曜日の夜に食傷気味の彼女のために雑炊を作る。沁みるゥ、彼女は言う。やっぱりこれだわ、月曜日の夜の雑炊。僕と彼女は映画の感想を話す。週末に見る映画より断然月曜日に見る映画が良いと彼女は言う。そういえば来週の月曜日は振替休日で休みだね、と僕が言う。ごめん、来週貴方と会うのは火曜日の夜にしない?。どうやら彼女は一人目の男と土曜日の夜から月曜日一杯まで過ごすらしい。僕は今週末は心置きなく自分のために過ごそうと思う。そして来週の月曜日は一人目の男といる彼女のことを考えながらブルーになるどころか自分のためにパエリアを作ろうと思う。僕は雑炊などさらさら作りたくはないのだ。そして火曜日の夜には僕の四人目の女が僕を待っているのだ。 



Copyright © 2006 公文力 / 編集: 短編