第42期 #7

うさぎしゃんと私

「うさぎしゃん!」
私の姉と私の義兄の間から生まれてきた子供、つまり可愛い姪が自分と同じぐらいの大きさの兎の人形を抱きながら舌足らずに叫ぶ。私が買ってきたお土産の人形だ。
「そうですよ〜、うさぎさんですよ〜。」
ミッ○ィーという名前があるのだが、気にしない。姪は可愛いから。
「うさぎしゃん!」
さっきから叫んでばかりであるが、そこがまた可愛い。
「ほらほら、オバさんとも遊んであげなさい?」
姉である。
「誰がオバサンなのよ。」
「あら?私間違った事言ってる?ねー、正しいよねー。」
くっ、姉の娘の叔母には違いないが姉に言われたくは無いっ、私よりも年上でオバさんなクセにっ。ちなみに私はまだ20代だ!姉もであるが。
そういえば、「女は20代で蕾、30代で開き、40代で満開」という言葉を聞いたことがある。私は学生時代、生物が得意ではなかったが、確か花が開かないと花粉が飛んで来ず種子は出来ないはずである。それだと、少なくとも16かそこらで開いてないといけなくて、50でもまだ開いていている人もいる。とすると開いているのは約30年程である。そんなに花は枯れないものなのか。まるでドライフラワーである。切花でもそんなにはもたないだろう。枯れた後を考えるととても悲しくなったので考えるのをやめた。
「ほ〜ら〜、おいで〜。」
私は姪を人形から引き剥がし抱き上げほお擦りをする。
「や〜、うさぎしゃん!」
姪は暴れ、兎の所に行こうとする。仕方ないので下ろすと満面の笑顔で兎に突撃していく。
「あらあら、もうすっかりお気に入りね。」
姪に捨てられ、思う。
そうか、姪よ。私は兎以下か。叔母は悲しいぞ・・・
「ありがとうね、きっとずっと抱えてるわよ。」
すると私はずっと兎との差を見せ付けられるわけか。
「どういたしましてっ。」
「なに怒ってんの?」



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