第42期 #11

「あたし昔あんたの奥さんだった気がしますわ」

 ガラス越しに僕の目をジッと見つめて彼女は言いました。
 こんなに困ったのは人生で二度目だけれども 何しろ相手はちょうちょだから きっとそんなこと覚えてやしない。



Copyright © 2006 神藤ナオ / 編集: 短編