第39期 #22
私の作品の一読者である友人に、私は仕上げた作品を朗読した。
恋に魔法をかけられて、僕の従弟は醜い姿になった。
当の恋は、愛と決着をつけるのだと言って僕の姉を連れて行ってしまった。
ユーリは、既に恋に奪われていた僕の唇を舐めると、「うん、確かに、レモンの味だ」と言った。
まだ恋のものではなかった深い関係に僕とユーリは突入すると(ああっ! 突入!)、そこに醜く変わり果てた姉を連れた愛がやって来て、「恋の奴は自ら命を絶ったよ。まあ、そういう事をしそうな奴ではあったけれどね」と言って、姉にくちづけすると、見る見る姉はもとの姿に、以前よりも美しくなっていった。
ユーリは恋の死に涙を流していた。ユーリは醜く変わっていた。ユーリは僕の顔をしげしげ見つめると、「君は今、どんどん美しくなっていくね」と言って、息絶えた。
従弟はもとの姿に戻った。恋はもういない。
私が顔を上げると、友人は「愛は勝つ、か。面白くないな」と冷たかった。
私は友人がカップを置くのを見計らってこう言った。「そうだろうね。何て言ったってこれは、事実だからね、ユーリ」