第38期 #9

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俺は携帯が嫌いだ。

それは数日前、痛みに耐えかね起きると、目の前に男が立っていた。
金を吸い尽くしてやった男だ。
今は使われていない倉庫の中で、俺は椅子にぐるぐる巻きにガムテープで巻かれ、目の前の男と二人でいる。
男は狂気で赤黒くなった顔を近づけてきた。
「お前の体に、爆弾を埋め込んだ。スイッチは携帯と連動している。090-1*9*-*4*0〜090-1*9*-*4*9の末尾の一桁の10通り。今からお前に、0〜9の番号を選ばせてやる。さあ、何番だ?」
今まで俺に恐怖し、媚び諂い、俺の足元を這い蹲ってた奴が、勝ち誇った顔をしてやがる。
俺は今の現状に、恐怖より怒りを感じて、倒れこむように椅子ごと男に突っ込んだ。
面食らった男に、恐怖の表情が表れる。
その顔に頭突きを食らわす。
何度も……何度も……
血が飛び散る。それでも俺は繰り返した。

お互い顔中血だらけになった頃、俺は気づいた。
番号聞くのを忘れていた。
今更聞こうにも、聞けない男が地に横たわっている。

爆弾を手術によっても取り外すのが難しいと知った時、俺に恐怖が取り付いた。

俺は携帯が嫌いだ。
間違ってもこの番号にかけようと思うなよ。
俺が死ぬ前に、俺がお前を殺してやる。


Copyright © 2005 刻黯 / 編集: 短編