第37期 #13

山上博士と下山助手

「博士」
「どうした下山君」
「自治を始めた猿達が馬鹿を始めました」
「何」
 早速、各研究室を監視するモニター室へ向かうと、中央の大画面に問題の猿達が映し出されていた。
 首にスカーフを巻いた二匹の猿が、鋼鉄製の奥深い建物の入口に立って同種の猿達を中へ送り込んでいた。
 室内が猿で満たされると、二匹のスカーフ猿は扉を閉じた。二匹のうちの一方が扉脇のスイッチを押すと、ガスが漏れるような音が鳴り出した。
「毒殺かね」
 絶叫や、爪で壁を引っ掻く音が始まった。か細くなって行き、やがて止まった。
 スカーフ猿が扉を開くと、入口付近にいた十数匹の猿達が外に向かって崩れて来た。死んでいた。カメラが奥の方を映すと、猿達は暗がりの中で立ったまま死んでいた。
「増え過ぎた数をこの方法で調節しているようです」
 助手の下山が解説している間にも、猿の死体はトラックで運び去られ、次の生きている猿の集団が建物の中へ押し込まれて行った。
「繰り返しているのかね」
「その通りです」
「所詮は猿だな。実験中止だ」
 続けて一言、
「猿も処分」
「では、あの建物を使いましょうか」
「おお、冴えているぞ下山君。さすが」


Copyright © 2005 三浦 / 編集: 短編