第29期 #8
森に帰ったと思っていたドラゴンが、家の前にいた。卵から育てたとはいえ、私のことなどもう忘れているだろうと思っていたのに、庭の、小屋のあったあたりにうずくまっていた。背中にうっすらと積もった雪に染みだしている赤い色を見て、ああそうか、と思った。だから最期にここに来たのか。 ドラゴンの密漁は後を絶たない。この子の親も密漁で殺された。たぶんこの子もどこかで知ったのだろう、私がこの子の親を殺したことを。