第28期 #2
朝、目が覚めると枕元に僕の彼女が立っていた。
「どこから入ってきたの?」と寝惚け眼で尋ねたら、彼女はニッコリ笑って返事した。
「瞬間移動して来たの」だって。
「そうなんだ、すごいね」そう言って僕はふと気がついた。
彼女は先週マンションの屋上から飛び降りたんじゃなかったっけ。
気づいた瞬間、彼女の姿は跡形もなく消えていた。
そうして僕は何もなくなった空間に向かってそっと呟いた。
「また会おうね」って。
自由になった彼女にとって、瞬間移動などきっと容易いことに違いない。