第28期 #1
体が動かなくなってから、紀さんは私を抱いて家の中を運んでくれるようになった。食事も食べさせてくれ、体も洗ってくれる。私は鉢植の緑みたいに、紀さんにすべてをゆだねることにした。 もっと痩せたいと思った。私が痩せて軽くなれば紀さんが楽になるから。本当は私が死ねばもっと楽になるのだろうけれど。紀さんは私を理想の花嫁だという。だから私は、ただ紀さんを信じることにした。紀さんのくれる薬を信じることにした。