第279期 #3
これから言う設定にしたがって小説を書いてください。
・この物語の主人公である「私」は、空に浮かぶドーナツのような雲の穴を眺めながら日課にしている愛犬ナナの散歩をしていました。
・しかし空をずっと眺めていたせいで、私は道に落ちていたバナナの皮に気づかず足を滑らせてしまいます。
・その瞬間、私の頭の中にキツネうどんとタヌキそばを誰かと交換するシーンが突然浮びましたが――――この描写はカットしてもOKです。
・次の瞬間目を開けると、私は道に転んだ私と似た誰かの顔をペロペロと舐めています。
・つまりバナナの皮で滑った瞬間に私と愛犬ナナは心と体が入れ替わったという、それです。
・「そんなバナナ!」と私は、人生で一度は言ってみたかったセリフを大声で叫びます。
・しかし犬になった私はワンワンと吠えるだけ。
・「あ、あの、ごめんなさい犬さん」と何の脈略もなく話し掛けてきたのは十代の少女です。「それはあたしが捨てた宇宙バナナの皮です。それで滑ると近くにいる生き物同士の心と体が入れ替わるバナナだから、絶対に捨てちゃいけないって宇宙小学校の一年生のときにも教わって……」
・なんだよそれと犬になった私は思いましたが、「じつは宇宙バナナの皮でもう一度滑ると、心と体が元に戻ります」と少女が解決策を話し出したので、それを早く言ってよ思いながら私はバナナの皮に向かって勢いよく走ります。
・「あ、でも宇宙バナナの皮で滑ると、じつは二分の一の確率で別の時間にタイムスリップしてしまうので……」と少女は追加の説明をしますが、私はすでにバナナの皮で滑っているところで、もうどうにも……。
・ここで、ぐ、ぐわわーと時空がゆがむ感じを上手いこと言語化してください。
・「すみません! どうやらあたしたちタイムスリップしたかも。つい五分前に――――という“やってしまった感”も上手く言語化してほしいの」と少女。
・私の目の前には自分と同じ顔と姿をした人物がいます。
・「これはタイムパラドックスです。世界が崩壊します」と少女は言って肩を落としますが、よく見るそいつは近所に住んでいる私の双子の弟だし、私も人間に戻っています。
・「あれ、さっきまで異世界にいたのに、ここは元の世界なのか!」と双子の弟は叫びます。「異世界で何度も書き直した小説生成のプロンプトでやっと元の世界へ戻れる世界線になったんだよ、兄さん! 次はこの糞プロンプトから抜け出す方法を……