第274期 #2

人間の、いただき方

「みなさーん、集まりましたねー」

 ここは、500年後の日本。少子高齢化などの影響により、人間の数は減少し、食料もなくなってしまった。その結果、人間は人間を共食いするということしか出来なくなってしまった。


 ニコニコとナイフを持つ彼女はテーブルの前に立ち、周囲の椅子に座っていた男性達を一望していた。

「では、今から人間の、いただき方についてご紹介しまーす!」
 彼女が告げていることは、その可愛い表情からは思いがけない言葉だった。

 椅子に座った男性達は「おお!」と喜びの声を上げた。

「まずは、このナイフで人間を半分に切り落としまーす!」
 彼女は、キラリと光るナイフを片手に持ち、目の前に用意されていた立派な人間を、すーっと簡単に断ち分けた。

 それを見た周囲の男性も、彼女を真似して目の前にあった人間にナイフで断ち分けた。

 彼女は、全員が断ち分けたことを確認し、「次に内臓を取り除きまーす!」と言って、その人間の体内にあった内臓を丸ごと素手でやった。
 その時に、ぶちっと体から内臓が切れた音が聞こえる。内臓は彼女の手と同じほどのサイズであり、彼女がそれを持ち上げると、まだ血がポタポタと流れ落ちていた。

 それを見て、周囲の男性も彼女を真似するも、間違えて心臓を抜いてしまった男性が一人いた。

「あら? 心臓を抜いちゃったの、我々の大事な栄養分なのに……手順を間違えた貴方は……食べられる側になってもらいます……!」

 周囲の男性達は、一人の男性を囲い込む。囲まれた男性は、思わず立ちすくんでしまった。
「待ってくれ! やめ、やめてくれ!」

「男性ども、やっておやり!」

「はっ!」


「うわあああああああああああああああああああ!!!!!!」
その男性は、悍ましい叫び声を上げた後、彼女らの食料となったのだった。



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