第274期予選時の、#2人間の、いただき方(みかんの騎士)への投票です(1票)。
二段落目「ここは、500年後の日本。少子高齢化などの影響により、人間の数は減少し、食料もなくなってしまった。その結果、人間は人間を共食いするということしか出来なくなってしまった。」が強烈です。
そして「ここは、500年後の日本」と書かれていることから、その後に書かれてあることはすべて「500年後の日本」に限定的なことであって他の国ではそうではないかも知れない、という余地が残されているところが面白いですね。
三段落目以降は「人間の、いただき方について」の描写になりますが、ここから読み取れるのは「人間は人間を共食いするということしか出来なくなってしまった。」という「500年後の日本」には、違反を犯せば自らが食べられてしまうマナーを強いられる「いただき方」の場があり、それにもかかわらずそういった場に参加する者がいる、ということです。
この場に参加した者が、意に反して強制的に参加させられたわけではないことは、六段落目の「椅子に座った男性達は「おお!」と喜びの声を上げた。」という文からわかります。つまり「人間を共食いするということしか出来なくなってしまった。」という日常がある中で、この場には喜びがあるということであり、それではこの場以外の「人間を共食いするということしか出来なくなってしまった。」日常とはどういったものであろうか、と読者の想像をふくらませます。
また、参加者は「男性達」と書かれ、講師のような立場の者が「彼女」と書かれていることから、「500年後の日本」での女性の存在についても読者の想像をふくらませる、とてもSF的な作品です。
(三浦)
参照用リンク: #date20250727-000708