第274期 #1
「昔はね、銃には厳しい規制があったんだ。市民が銃を持つことは禁止されていた。ただし、一部の国では例外があって、所持が認められていたところもあった。でも基本的には、一般人の所持は禁止。
ただし、例外もあった。銃を持つことが許されていたのは、猟師だけだったんだよ。」
2123年、大学の講義室で、教授はゆっくりと話を続けた。
「やがて時代が進み、猟師という職業そのものがなくなり、それに伴って銃の所有も完全に禁止された。人類は“無銃社会”へと移行したんだ。これは当時としては非常に大きな出来事だった。高校の歴史の授業で学んだはずだね。
同じような変化は、車の免許制度にも起こった。全自動・無人運転が一般化した後、人間による運転は制限され、限られた人だけに許可されるようになった。まるで、かつての猟師のようにね。
昔は、ほとんどの市民が運転免許を取得していた。運転免許証は身分証明書としても使われていた。でも今では、特別な許可を受けた人だけが趣味として運転できる。大多数の人は、自動運転車に乗るだけだ。不思議なものだよね。
ちなみに、当時『免許』といえば『自動車運転免許証』のことを指していた。でも、今『免許』といえば——そう、『宇宙空間移動装置乗用免許』のことを意味する。時代は変わったものだね。」