# | 題名 | 作者 | 文字数 |
---|---|---|---|
1 | 昔は厳しかった | 宙空 | 809 |
2 | 滝 | OS | 943 |
3 | 2時間 | 蘇泉 | 431 |
4 | 君 | 病みねこ | 590 |
5 | ETC/一般 | テックスロー | 1000 |
6 | ループする人類文明 | こまっぴー | 999 |
7 | 大相撲煉獄変 | 朝飯抜太郎 | 1000 |
8 | ベイビーボム世代 | euReka | 1000 |
私は風に吹かれて、町を歩いていた。
人生の楽しみなんて、読書しかなかった。
今日は本を買おうと歩いている。
「こんにちはー!」
「いらっしゃい」
700円を握りしめて古本屋に入ると、100円の本を4冊撰んで買う。
1000円が私の小遣い兼心の支えの元になっている。
今日は山の中に一泊した。
------------------------------------------------
朝日が上ってきた。
今日は月曜日。
カレンダーは一月に一番安いのを買う。
さて、月曜日で、學校の時間じゃないのか、そう思うだろうが學校は行っていない。
面倒くさいし、何より会話に入れない。
やはり心の支えは読書である。
水も食べ物も山でならすぐに手に入る。
家も、火も、全部山。
肉は流石に買うしかない。
だからその分お金を残す。
服も一応繊維を紡いで3か月位で作る。
起床から就寝まで、全て山にまかせれば、昔の気風を感じることができる。
なのに、
なぜ、
あんな近未来的な生活をしているのか?
考えるときりがない。
わかることといえば、
「昔は厳しかった」
事くらい。
-------------------------------------------------
-------------------------------------------------
こんにちは。私は鏤鍜。るかだよ。
前回も今回も、私の話だよ。
性別は云えない。
時間も、なにも、止まることが大切とは限らない。
それくらいわかるでしょ?あ、多分でいいよ。
ところで、疲れることがあるでしょ。
それは、何時も走ってて、走り疲れたって云う認識でいいとおもう。
そういうときはたいてい歩いているんだ。
きっとね。
きっとここまで読む他人なんていないんだろうけど、これは覚えていてほしいな。
『時間は有限』
なんだよっておもうかもしれないけど、これは本当だよ。
じゃあこの辺で。バイバイ。
あ、これは後書きじゃなくて匂わせ、だからね?
滝が気になる。
駅前や電車にある広告など、ふとしたところで目に留まるようになった。次第に動画や画像を漁るようになった。
鬱蒼とした木々の中、固くざらついた岩肌から勢いよく水が放出する。日常に風穴をあけるような爽快感が広がる光景だ。
では、私の日常はと聞かれても上手く説明することができない。不満はない。質問されたら何でも素直に答えるだろう。
しかし、自分から話す言葉がない。
人に現状を知られるのを恐れるというよりも、そもそも空虚なのだ。
頭痛を感じ、水を飲もうと蛇口をひねった。
鈍く光ったシンクに水が流れる。
水流が高低へ落下する様を私は凝視していた。
この落差。これが私を惹きつけるのか。
それは、私の心の内と現実の振る舞いの落差を示していた。
実際に足を運んで滝を見ようと考えた。
ニュースではウィルスの話題で連日持ちきりだった。
スーパーから消耗品や食料が消え、緊急事態宣言が発令され町から人が消えた。
私はレンタカーで夜が明けない内に出掛けた。
曲がりくねった山道を何度も越える。車一台ない。
漆黒の木々がやがて陽を浴び色を取り戻した時、目的地に到着した。
がらんとした駐車場に車を停め山道に歩き出した。
土の柔らかな感触、木々の匂い、擦れるリュックの音と静寂、冷たく澄んだ空気を感じた。
自然に触れるのは久しぶりだ。
中腹で腰をおろしポットから熱いコーヒーを注ぎ飲む。
滝はここから歩いて数時間のところにある。
歩み進める。道の勾配に従って呼吸が荒くなる。
沢の音が次第に大きくなる。
近づいてきている。
木々をぬって急斜面の細い道を更に歩き続ける。
突然見晴らしの良い場所に出た。
私は広々とした草の上に立ち、息を飲んだ
両端の木々の切れ間に、岩肌をかき分けるように滝が放流していた。
迫ってきそうな激しい音だ。
不思議なのはその滝が黄金色に染まっていることだ。
雲ひとつない晴天。
陽光に照らされ水が乱反射してそう見えるのかもしれないと初めは思った。
しかし目を凝らしてもそれは黄金だった。
黄金の水が青々とした空のもとで決壊しそうなほど轟音をたて流れていた。
私はこの迫力に満ちた光景を受け止めるのが精一杯だった。
誰かと分かち合いたかったが誰もいない。
この光景は奇妙というか異様に思えた。
同時に神々しさに恐怖を覚えた。
H博士は静かに口を開いた。「成功しました。睡眠を2時間減らす薬です。」
国立研究センターの会議室に、ざわめきが広がる。博士は続けて説明した。「この薬は、睡眠の質を高めることで、平均して2時間の睡眠を削減できます。つまり、8時間寝る人は6時間に、6時間寝る人は4時間になる。増えた2時間は、仕事や趣味、スポーツに使うことができるでしょう。寿命を延ばす効果さえ期待できます。ただ…」
「ただ?」偉い人の一人が顔をしかめて問いかけた。
H博士は少し間を置き、慎重に答えた。「全員の生活時間が2時間増えたとき、社会がどう変わるか、どんな問題が起こるか、まだ予測がつきません。ですから、国民全体にすぐ導入するのは慎重にならざるを得ません。」
会議室は静寂に包まれた。新たな技術がもたらす可能性と、その背後に潜むリスクを、誰もが真剣に考え込んでいる。しかし、やがて一人の偉い人が、ふと笑いながら口を開いた。
「まあ、その増えた2時間、結局みんなスマホをいじって終わるんだろうけどな。」
私にとって『君』は、長く隣にいてくれる人だった。暖かい愛で包みこんでくれて、我儘を聞いてくれる人だった。そんな君が消えた。今度の君こそ最期まで一緒にいてくれると思ったのに。そんな事はなかった。
一番目の君は時に人を傷つけるほど優しかった。私はその優しさが好きだった。溺れさせてくれる優しさが好きだった。
二番目の君はちょっと意地悪だった。私だけをからかう性格が好きだった。私の扱い方が上手かった。
三番目の君は至って普通の人だった。特別優しいわけでも、特別安心出来るわけでも、意地悪をしてくるわけでもなかった。そんな普通なところが好きだった。
四番目の君は俗に言うメンヘラで、重いところが可愛かった。小動物のような見た目にちょこちょこ動き回るのが可愛かった。そんなところが好きだった。
五番目の君は一緒にいると心地が良かった。偽らなくても一緒にいられた。その安心感が好きだった。
でも君は必ず去っていってしまう。私の何が悪いのだろう。新しい君に出会うたびに、新しい君に合わせて行動した。自分を捨てて行動した。五番目の君の前だけでは、偽っていなかったけれど。もしかして、僕の代わりに君が偽っていたのかな。偽ることに疲れてしまったのかな。
僕のせいだ。僕が自然体でいたから疲れてしまったんだ。今度の君の前では、ちゃんと、偽らないと。。。こんな事してて幸せになれるのか?
分からない。僕にはもう、何も、
「であんた今何やってんの」
「ETCの番頭」
聞けば彼女は高速道路の料金所で働きだしたのだという。
「でもあんた免許持ってないじゃん。車に興味持ちだしたとか?」
「全然」
自転車で片道40分。彼女が働くインターは市内から市外に出入りする場所に設置されており、一日の交通量はわりと多い。と言ってもほとんどは朝夕の通勤ラッシュ時に集中し、しかもだいたいの車がETC車載器付きであるため彼女はただ左から来た車がゲートをくぐって右に出るのを見ている。
「そこってお化けインターじゃん、夜勤とか怖くない? ゴーストドライバーの話あるよね」
「大丈夫だよ。私そういうの信じないし。それに、車に誰が乗ってるかなんて、気にしないよ」
仕事にも慣れたらしく、最近は目の前を通りすぎる車たちの色だけを確認している。
「顔もね、車種も、ナンバーも、全部混ざり合ってなんか車が一つ一つの色のように思えるのね、それがびゅんってゲートからスピードを上げて高速に打ち上げられていくの。しばらく見てると、目の裏側で車が花火みたいに広がっていく」
「贅沢な時間の使い方だねえ」
事実、午前10時頃になると車通りは少なくなり、彼女には本を読む余裕さえあるという。
「さすがに読まないけどね」
ただ、コーヒーなんかを飲みながら、やり過ごす。
「実はね、ある車が通るのを待ってるの」
その車は、ありふれた黒のコンパクトカーだという。特徴を詳しく聞いても要領を得ず、四つタイヤが付いているくらいしかわからない。車種もブランドも知らないが彼女はしかし、「見たら絶対にわかる」と断言する。
「誰が乗ってるの」
「昔の旦那」
「え、あんた結婚したことあったの。てか何その話、ストーカーかなんか? ちょっとヤバいやつじゃん」
彼女は笑ってうなずいた。
料金所で本を読む彼女の前に一台の黒い車が停まる。ウィンドウを開けて通行券を取ろうと差し出された男の手に彼女は自分の手をそっと置く。男は手を握り締めて強く引き、彼女は料金所から飛び出して二人は口づけを交わす。男そのまま彼女を助手席に乗せて高速道路を一緒に飛んでいく。そんなことを考えながら、彼女は目の前を走り去る黒い車の後ろを物陰から見ていた。いってらっしゃいをすんでのところで飲み込んで、車が消えた後も目をつぶってその軌道を思い描き、やがてそれが高速道路上で一つの点となり、消えてしまったのを見届けて、さようならと呟いた。
西暦xxxx年。人類は叡智を究めた。世界の謎を解明し、空間、物質を自由に操り、四次元との交信も可能にした。
だが、彼らは絶滅の危機に瀕していた。核戦争により地球は壊滅し、今人類は遠くの星に移動して地球を見守っている。地球に文明の跡は殆ど無く、今はクラゲが生まれたところである。恐竜や猿はまだ生まれない。
彼らの技術があれば、人間のクローンを作ることも可能だ。そこで彼らはクローン研究のポスドクで健康で純粋な青年 アダムのクローンを作り、地球に投下した。
そして人工楽園 エデンを作り、管理者として様々な地球生物を作成しそこに置いた。
次に彼らはモデルとして活動していたイブという女性のクローンを作成し、アダムの恋人とした。
その後善悪の知識の実を食べさせて、楽園を追放。2人はエデンの外で生きる事を余儀なくされた。これは聖書に記された記録の再現である。
しかし、人間はやはり人間であった。時が進み、人間たちは神の言うことを聞かなくなった。だから彼らは人間を一度リセットすることにした。
人工降水機で大雨を絶え間なく降らせ、地球を水で包んだ。大丈夫である。太陽はまだ幾億年かの寿命がある。植物は水に包まれようが育つし、残された人間と生物は船の上に乗っている。
文明を始めることにした。神の子として男児を地球に降臨させ、王や人民を統一する地域圏の"道徳"を作った。
神は彼らだけでなく、色んな者がいた。大陸中央ら辺を壊したり再生したり壊したり再生したりを繰り返す神たち。
2人の神から島が作られ、そこから八百万の神に派生したり。
神を唯一のものとして崇めさせ、厳正な規律を持って人を律する砂漠の神など、それは様々である。
そして、いく年が経った。神はもう居ない。絶滅したのだ。二度の世界大戦を終え、まだ文明は奥に控えているが、地球の様子はどうだろうか。
また、いく年が経った。
西暦xxxx年。人類は叡智を極めた。世界の謎を解明し、空間、物質を自由に操り、四次元との交信も可能にした。
だが、彼らは絶滅の危機に瀕していた。核戦争により地球は壊滅し、今人類は遠くの星に移動して地球を見守っている。地球に文明の跡は殆ど無く、今はクラゲが生まれたところである。恐竜や猿はまだ生まれない。
彼らの技術があれば、人間のクローンを作ることも可能だ。そこで彼らはクローン研究のポスドクで健康で純粋な青年 アダムのクローンを作り、地球に投下した。
相撲協会の力士の心得にはこうある。
一、驕らぬこと
一、怒らぬこと
一、妬まぬこと
一、怠らぬこと
一、欲張らぬこと
一、食べること
一、色に溺れぬこと
横綱・七大斉がこれを破ったとして、千秋楽結びの一番の土俵入りを拒否されるという異常事態が、ここ国技館で起きていた。
花道の途中に立つ横綱。それを数人の力士達が押し返そうとしても、横綱はびくとも動かず土俵を見据えている。
土俵を挟んで向こう側では、取組相手の大関・鶏つくねが途方に暮れていた。
土俵下の砂被り席で、紋付き袴の老人が怒りに満ちた声で呟いた。
「図りおったな……ルシフェル」
隣に座るスーツの偉丈夫、ルシフェル親方は微笑んだ。
「お互い様でしょう」
「ぬけぬけと……」
「私は力士として当然のことをしている」
「貴様ッ! 土俵に封印されたものが蘇ればッ……」
「それが人の考えの限界だ。力士はそう考えない」
ルシフェル親方は座ったまま叫んだ。
「砂淡! 構わねぇ! こっちへ来い!」
砂淡は七大斉の旧四股名だ。七大斉は、親方の声を聞き歩みを進めた。もはや誰も止めることはできない。彼は普段のように花道を歩き、呆然とする太刀持ちや露払い達を置き去りにして土俵に上がった。
そして悠然と四股を踏んだ。
同時に土俵の綱が発光した。光は爆発的に大きくなり、突如、雷のような破裂音と共に土俵から光の柱が上がった。
光が消え、呆然とする人々が見たのは、土俵の上に立つ一人の力士だった。
髷は解け、髪は天を突くように逆立っている。盛り上がった浅黒い筋肉の体は鉄のよう。穏やかだった顔つきは、ギラギラとした瞳と、頬までさけた笑みにより一変していた。
「これが、蹴速……素晴らしい」
土俵に上がったルシフェル親方は目前の異形に対し、感動に震えていた。
次の瞬間、振り向いた七大斉――蘇った相撲の神の蹴りがルシフェルの顔面を捉え、そのまま二階席まで吹き飛ばした。
誰もが息を呑み、悲鳴と共に全員が動き出したところで――
ズドン
その音が、国技館の人々の動きを止めた。
土俵の上、蹴早に相対する力士が四股を踏んだ。
大関、鶏つくね。本場所、七勝七敗。振るわない理由はムラの多さ。しかし、ついたあだ名は大物喰い。
蹴速が向き直る。
鶏つくねが腰を低く低く下げていき、拳を土俵についた。
それに引っ張られるように行司が軍配を掲げ、待ったなしを宣言した。
「はっけよい!」
かつて、赤ちゃんが爆弾として戦争に利用された時代があった。
それはベイビーボムと呼ばれ、爆撃機から赤ちゃんが投下されると爆発するが、不思議と赤ちゃんが死ぬことはない。
地上に残った赤ちゃんは後で回収されるが、戦火で死んだりしていつも半分ほどの赤ちゃんは返ってこなかったという。
「この世界大戦において赤ん坊は肝要の戦力であり、その数によつて戦争の趨勢が決まるのです」
当時、街頭演説をした政治家の言葉だ。
「赤ん坊は爆発しても死にませぬ。しかも我が子が爆弾になつて、国家の存亡を救う英雄天使になれるのですから……」
戦後になると、人道的な観点からベイビーボムの使用が国際条約で禁止された。
しかし、ベイビーボム世代はその後、爆発の影響で病気になりやすい体になったり、寿命が短くなったりしたという報告が多く上がった。
結局、因果関係がよく分からず後遺症の問題はうやむやにされてしまったが、彼らの子どもにあたる第二世代には奇妙な特徴がハッキリ現れた。
第二世代の彼らには何らかの超能力が備わっており、とくに強い力を持つ者は隕石を好きに落としたり、通信を一瞬で混乱させたりすることができた。
その後、大国による超能力者の奪い合いが起こったが、第二世代の彼らはそれに嫌気がさして集結し、南極大陸を実行支配して自分たちの超能力国家を誕生させた。
「我ら南極国は、まだ憲法もなく国際的な承認もない一時的な拠り所に過ぎません」
南極国のリーダーは、白い氷の台に立って演説をした。
「我らは、超能力で人類を支配することも可能です。しかしそれは、かつてベイビーボムを使って世界を支配しようとした人々と同じ愚かな行為であり、我らと同じような悲劇を産むだけです」
数年後、南極国は人類を支配すべしとする強硬派と、人類との対話を求める穏健派に激しく分裂した。
強硬派は人類の半分まで支配したが、反対勢力による抵抗やテロで統治が上手くいかず、面倒臭くなって南極に引きこもってしまった。
一方の穏健派は人類との対話を試み、一部に理解者も現れたが、第二世代というだけで化け物扱いされるだけだった。
「我々の超能力があれば宇宙へ出られるし、とりあえず人類と距離を置こう」
新しく選出された南極国のリーダーはそう宣言した。
「我々は、人類の支配にも対話にも失敗した。ただそれだけさ」
これが、われわれ火星人の歴史の始まりだと思うと、何だか……。