第265期 #3

大好き?

@ 大好き? @


「ねぇ、ボクのこと大好き?」
n 回目の質問を言葉にし、少年は駐車場のブロックを飛び移っていた。
「また聞くん?大好きやって」
答えたもう 1 人の少年は少し怠そうに n 回目の回答を言葉にし、フェンスに身体を預けた。
「なら、いいや」
「もー、何回もこれ答えとるよな?そんな信頼ないん?」
「そんなことないの、聞きたいだけ」
ブロックの端までよろよろと歩いた少年は躊躇わずに降りるとにぱ、と笑ってもう 1 人の手をとった。
「いっしょかえろー!もう夕焼け小焼け流れちゃう!」
「あーほら走んな、転けるよ」
少年は小さく笑った。少年も嬉しそうに微笑んだ。
 
「ボクのこと、好き?」
その日、少年は同級生と喧嘩し親友の前でも苛立ちを抑えきれずにいた。n + x 回目の質問に、いつも通りの少し呆れた声色は出せず。少年は親友の変化に気がついていたはずだったのに。
「何回も何回も聞かないでよ、あぁもう、嫌いだよ、こう言ってほしかったの?」
言った時にはもう、遅かった。
「そっかぁ、じゃあ」
またねを言う前に、トラックが鈍い音を鳴らして急停止した。



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