第243期 #6

明日、地球人になります

「では次は地球担当」
 視線が集まる。
「やっぱり辞めちゃうんだ」
 時間の問題ではあったよね。そんな囁きも聞こえる。
「希望者いますか」

 むかし親が発見したちいさな星。いまはわたしたちによく似た生き物も暮らすようになっている星を発見して台帳に登録して、初代担当になった親が不慮の事故で消えて、わたしが担当を引き継いだ。親が住めるようになるまで育てたちいさな星。
 死にかけているわたしたちの星からの移住計画。地球は候補星のなかではどちらかというと不人気なほう。登録当初は注目されたけど、わたしたちと競合しかねない生き物が発生してしまったから。駆除するっていう話もあったけど立ち消えになって、地球はそのまま移住先としての人気が下火になって、もうずっと誰にも顧みられないまま、ながいことわたしが担当している、その担当をわたしは今年いっぱいで降りる。
 年が明けたらわたしは地球に降りる。わたしの親がそうだったように、わたしの移住も不慮の事故で片付けられる。わたしは担当星に魅入られて取り込まれて消えて行ったものたちのひとりになる。

 正規移住者ではないから手当も保護も受けられないけど。
 明日、わたしは地球人になる。



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