第24期 #11
「ゆでたまごをください」
「ゆでた孫ですか、それともゆで卵ですか」
「わたし純文系なので駄洒落は大嫌い。はやくゆでたまごをください」
「では、こちらへどうぞ」
男は女を倉庫へ連れていった。何でも揃っている倉庫だったが、ゆでたまごだけはなかった。
「ゆでたまごなんて、ないじゃないですか」
「だまれ、中途半端におっぱいのでかいメスブタめ」
男は女を蒲団に押し倒した。ストッキングをびりびり破き、パンティの脇から挿入した。いちどそうしてみたかった。最後はバックから中出しでキメた。
「鮫島さんはどこへ行った」
仕事場に戻ると、本部長が男にたずねた。
「お腹が痛いそうで、さっき早退しました」
「ゆでたまごを頼んどいたんだが、きみ、知らんか」
知りませんねぇ、とかぶりを振って、男は女のタイムカードを押した。
翌朝、女はいつもどおり出勤した。突き出た腹に、本部長は目をとめた。
「ははん、お腹が痛いって、鮫島さん、そういうことだったのか」
「すみません本部長さん、ゆでたまごのことなんですけど」
「無理しちゃいかんよ、きみひとりのからだじゃないんだから」
仕事をしている間に腹はどんどん膨らみ、女は昼休みに倉庫で子供を産んだ。まるまる太った男の子だった。
「ハルクと名付けてもいい?」
女は男にたずねた。
「どうしておれにきくんだい?」
女は乳房をべろんと出して、ハルクの口にふくませた。倉庫は、三人で暮らすにはちょうどいい広さだった。
男がその日の仕事を終えて倉庫へ帰ると、ハルクは立派な若者に育っていた。
「この子、お乳をたくさん飲むのよ」
「そりゃ、たのもしいな」
ハルクは二メートルのからだを横たえ、女の乳房を吸っていた。
「いやっ」
女がふいに声を上げた。
「ハルク、歯を立てちゃいや。もっとやさしく、そう、舌先でころがすように。あんっ」
ハルクはオムツを脱ぎ、女のからだに覆いかぶさった。
「ああ、いいわ、ハルク。強く強く、弱く弱く、そう、そのリズム、ああんっ、ちんぽの大きさに頼っちゃだめよ、こまめに体位を変えて、深く深く、浅く浅く、むんっ、そこっ、あたるぅ、速く速く、遅く遅く、そうよハルク、ああんっ、すごくいいわ、ハルク」
翌朝女はたまごを産んだ。たくさん産んだので、男はそのうちのひとつにのし紙をつけ、本部長に渡した。
「うれしいですねえ」
本部長はたっぷりのお湯をわかし、まだ午前の勤務時間中なのに、たまごをゆではじめた。