# | 題名 | 作者 | 文字数 |
---|---|---|---|
1 | あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる | テックスロー | 968 |
2 | 魔界ストーリー | うーちゃん | 73 |
3 | プロット小説、マッチ売りの少女から | 千載納言 | 997 |
4 | ニキビ | 蘇泉 | 329 |
5 | 寄り道 | 朝飯抜太郎 | 1000 |
6 | 永遠に愛しき彼女 | たなかなつみ | 998 |
7 | カワイイヒト | わがまま娘 | 1000 |
8 | いつか王子様が | euReka | 1000 |
9 | ウロボロスの尻尾 | なこのたいばん | 375 |
○○県高羽区桃白台と言えば、近隣県でも知らないものはいない高級住宅街であり、住むだけで人間の価値が上がると言われる一等地だが、その一区画のひと坪に、およそ周囲の家々と似つかわしくない一棟のプレハブ小屋が突如として現れた。ゴールデンレトリバーを散歩中の高橋婦人は昨日まではなかったその小屋を思わず二度見し、その場で自治会長に携帯電話でクレームを入れた。われわれの住宅街に変な人間が小屋を建てたので即刻撤去をお願いしたい。自治会長はいつもの柔らかい落ち着いた口調でなるほど、その小屋というのはどこにありますかと言うので、高橋夫人はその場所をと伝えると申し合わせたようにプレハブ小屋のドアが開いて中から自治会長が現れた。
あぜんとする高橋夫人に自治会長は自分が貧困に陥った顛末を語りだした。投資失敗、息子の非行、連帯保証、勤め先の倒産など、高橋夫人の日常ではまず耳にしない単語に逆に空々しさを感じたが、自治会長から立ち上る体臭がすべてを物語っていた。かように簡単に人は貧困に陥るのかと戦慄する一方、高橋夫人は自治会長はなぜ我らが桃白台から立ち去らないのか疑問に、そして不満にも感じた。
「なぜここを去らないのかと考えてらっしゃいますね」
夫人が自治会長の目を見る。不穏な空気にレトリバーが吠える。
「対岸の火事でない貧困を目にして、あなたがたの網膜に焼き付く私はニュースで流れる貧しい子ども達以上の意味を持つでしょう、それが見たくて私はここにしがみついている。私は究極の慈善ってのはね、貧困だと思っている。あなたの幸せも私の貧困のおかげでもたらされ」
「くたばれ」
高橋夫人はハンドバッグから札束を取り出すとしゃべり続ける自治会長の口にねじ込んだ。いつの間にか夫人の後ろにはつなぎを着た婦人連がいて、皆掃除機のようなものを手に持つ。「撃て」
夫人達が向けた掃除機から帯状に万札が射出され自治会長に容赦なく降り注ぐ。自治会長が札束にまみれて見えなくなってもなお万札は尽きず、一部は風に乗りホームレスのもとに届き、彼はラッキーとばかり瞬く間に酒に変える。ブルーシート小屋でへっへ、と歯のない笑いをたて純米酒をすする顔に差す西日がふっと遮られる。眩しそうにホームレスが入り口を見ると西日を背に、掃除機を手にした四人のつなぎを着た女性たちが叫ぶ。
「撃て」
ここは魔界。
人間と住む場所も違う。
そこに住む人たちのことを魔人という。
そこには学園があった。
「魔界学園A」
どういったものなんだろうか
のぞいてみよう
なかなか小説を書くのは難しいモノであります。其れを教える
江戸昭和大学の文学部、小説学科、執筆 でも、
受験者が集まってほしい沢山集まってほしい。
其のために、小説の書き方を教えなければなりません。
これは、大学の研究は新しいモノや理論を打ち出す。
はずなので、小説が書けるなら其れを学びたいと沢山の
人が集まること、間違いありませんでしょう。
マラソンが出来るように。小説が書けたらこの国のレベルも
大いに飛び上がること間違いありません。
さて、其の書き方ですが、「マッチ売りの少女」 と、言う小説を書くためにプロットを書くという。 簡単なものです。
そんなもの教えちゃっていいのか?
当然です 惜しんではいけません。
与えることで学生のレベルが上がり新しい小説作法も
生まれるのです。
まず、ひとつの小説を書き上げる事が出来る学生を社会に送り出してこそ文学部です。
執筆学科です。
ところで、マッチ売りの少女ですが。多々類作がありますが、
> ある夜、雪の中マッチが売れない少女が家に帰ると父親にぶたれる。帰れない。
と、言う部分は共通でしょう。
帰れない。<<ここが、注目です。焦点です。
つぎに、なぜ?
マッチ売りの少女の『童話』が、連綿と広がり
受け継がれているのか?
その理由は子供のわがままです。
かわいい子供でありますが思うようには育ちません。
隣の人や、学校の友人たちの家庭があったかく、そっちの方が良い等と言わないまでも、、、
親の苦労などは判かっちゃぁない。
知りません。
だから、隣の家の窓から我が家をのぞく
「かわいそうな」子供がいることを教える。
〜そんな親が多いのです。そのためには。。。
まどが必要で、窓をのぞくと、なると、ぽっと明るくなるマッチがいい。
線香花火の儚さもいい。
近頃ではマッチなどだれも使いません。しかし、復刻で遊びのようなマッチは売られている。
需要があるわけです。
商品になっているくらい、必要とされている。
これは、マッチ売りの少女の『童話』が、あるから、なのです。
手軽な創作、文章の書き方で、「二次創作」が、あります。
すでにあるマッチ売りの少女から
二次創作させるのです。
それも、本編ではなくプロットを学生に書かせる。
其のプロットにより、誰もが小説を書けるようになります。
我大学も学生が集まり。
卒業生たちは、多々類々の小説が書ける。
まあ、お金をもらえるようになる。と、言うことです。
就職もできます。
私はニキビに悩んでいる。
悩んだ末、友達の紹介で駅前の皮膚科に通い始めた。
そこは結構いい先生で、薬を出してくれる。しかも値段もお手頃だ。
ちょっとくらいは良くなったが、やはりニキビは消えない。なかなか見える痕が残っている。
先生に「今のニキビ、なんとか出来ないか」と聞いたら、先生が、「彼女いるの」と私に聞いた。
「いますよ」
「結婚予定は?」
「来年かな」
「じゃ30歳になったら良くなるよ」
私は戸惑ったが、向こうは国立大学を出た先生だし、聞けなかった。
次の受診の時も、また「30になったら良くなる、慌てる必要ない」と言われた。
やはり気になる。「なぜ」と私が聞いた。
先生が「そうですね。30になったら君は慣れてくるし、嫁さんも慣れてくれるだずですよ」とおっしゃいました。
バイト代で買ったミラーレス一眼を構えて待機命令。
「おじさん通過待ち」
「笑顔維持キツ」「ええからはよ」
落ち武者的頭髪のおじさんとJKを差別する意図はないけどプライバシーがさ。ま、チーズ。
三人で覗き込んだカメラの中にはおじさんはいなくて、代わりに向こうの地面におじさんの顔。ギョッとして落としたカメラは即座に理亜がキャッチ。マジ感謝ソフト部だが絶対パンツ見られてる……と、その顔をよろけた理亜が踏み抜いた。
「わっ」
足は顔をすり抜ける。
「そ、そ」「どこどこ」
私の指の先、顔から生足生えたおじさんの顔。だが友人二人には見えていない。
「何もないけど」
「いや、おじさん!」
「だから、どこ!」
おじさんはいない。私にしか見えない。理解。
「僕は君の視界に住んでいます」
おじさんは私の部屋の壁に張り付いて直立したまま言った。
普通なら悲鳴絶叫事案だが私は冷静だ。帰りの電車の窓の外、左右の残髪をたなびかせて平行移動するおじさんの姿は逆に私を安心させ、そのまま精神科の予約をとった。今は説明のために状況をまとめている。自分で自分の話を聞くわけだけど、そういうプロセス、案外必要だよね。
「視界って?」
「君に見える範囲の世界です。見えない所は無です」
「という設定」
「設定は大事ですよ。説得力が出ます。コイツ嘘松確定とか思われたら嫌でしょ」
「嘘松判定しようとする医者が嫌。そもそも幻聴幻覚に説得力?」
「現実ですよこれは」
私は黙る。おじさん勝手に焦る。
「いや、すみません。僕もわからなくて。外を歩いていたらドンって衝撃あって、気付くとここに。でもJKの視界に入りたいな〜とは考えてました。ハハ」
「ハハ。そのイノセンスの因果? 神様悪趣味で草」
映画のセットのような部屋の反対側には彼女の大きな目があって、瞳には僕も映っている。
彼女はもう眠いらしく、何度か瞼が落ちて、その度にここは真っ暗になる。
今日は風呂にも入らず寝るようだ。まあ気持ち悪いよな。申し訳なくて、なるべく視界の端に座る。
彼女の強さに助けられている。正しくない。
彼女がカメラを向けた友達や飼い犬、公園の遊具、信号、空、雲、虹、花。その一つになるのは無理で。僕の静かな世界には納得や正しさはあっても、そんな光はないから。それでよかったはずのに。
彼女の目が閉じた。辺りをしんとした闇が満たす。ここは寒くない。あちらの部屋も、そうだといいのだけど。
いえ、わたしは彼女を閉じ込めたりしていない。わたしはただ彼女の声が似姿が欲しかっただけ。だからわたしは彼女の声を姿を移した。わたしの手元で何度でも繰り返し彼女に触れられるように。
いえ、それは彼女自身の声ではない。彼女自身ではない。それは単なる彼女の発した声、彼女の似姿。すべて過去のもの。現実にはもう存在しない。わたしはただそれを移しとっただけ。彼女の見せた姿が、発した声が、彼女が彼女だった過去が、ただ虚空に消えないように。
ええ、わたしは彼女を愛している。あなたが聞いた彼女の声はすでに存在しない。あなたが見た彼女の姿はすでに実体がない。ただわたしが自身を慰撫するためにわたしの手で移しとった虚像。
ええ、だからわたしは彼女とは話せない。触れられない。あなたが彼女とわたしの会話を聞いたとしても、彼女と抱き合うわたしの姿を見たとしても、それはわたしが彼女の声に、似姿に、ただ合わせているだけ。
いえ、わたしの手元にいる彼女はただ記録されたものの繰り返し。あなたがそれを実在の会話であり抱擁だと思ったとしても、そんなことはありえない。
いえ、彼女はわたしのことを知らない。わたしは彼女と話したこともない。彼女は遠いところで知らない人たちとずっと楽しそうに過ごしていた。わたしはただそれを見つめて耳をそばだてていただけ。いったい、それが罪になるのでしょうか。
ええ、わたしは彼女を閉じ込めたいと思った。彼女がわたしのことだけを見て話しをすればいいと。いったい、ただそう思うだけのことが罪になるのでしょうか。
ええ、彼女の似姿はまるでわたしを求めるように動きます。彼女の声はまるでわたしへの愛を囁くように聞こえます。わたしはただそれに合わせて受け答えしているだけ。いったい、ただそれだけのことが罪になるのでしょうか。
わたしがここへ閉じ込められたのは、彼女と引き離されたのは、愛することが罪だからでしょうか。いえ、わたしは彼女のことなんて知らない。彼女に会わなくなってからもう五十年の月日が経ちました。わたしが愛しているのは、長の月日をわたしに寄り添ってくれた、彼女の似姿、彼女の声です。
いえ、その老婆は彼女ではない。その老婆は虚像です。彼女は永遠にうら若き乙女なのだから。立ち去れ!
ええ、わたしは彼女を愛しています。誰よりも。いつまでも。いったいそれが、なんの罪になるというのでしょうか。
学食で友人の視線がちょくちょく逸れる。
気付いているのは僕だけじゃない。他のふたりも気付いてて、なんだかニヤニヤしてる。
そういうことか、と思いつつ、どんな人なんだろうと振り返りたくなる。
どんな態度が正解なのかわからないけど、僕は気にしてないふりをしながらコロッケを食べた。
「お前、気になんないの?」
急に振られて、「え?」と間抜けな声が出た。
「あぁ、気になるけど、振り返ったらおかしくない?」と言ったら、ふたりが「あぁ」と一緒に声を出した。
「ふたりは、誰か知ってるの?」って聞いたら、「やめろよ」と遮る声が入りつつも、僕の隣に座る友人が科と学年を教えてくれた。
「全然違うのに、どこにそんな接点あったの?」
「バ先が一緒なんだって」僕の問いに答えてくれたのは、本人ではなくて斜め前に座る友人だった。
「だったら、そんなに見てたら気持ち悪がられない?」
「そうかな?」急に不安そうな顔をして僕を見る友人。
「いやいや、だったらあっちもこっちなんて見てないって」斜め前に座る友人が言う。
「あっちもこっち見てんの?」
僕と隣の友人の声が被った。
それはもう……。
「イケイケじゃね?」と隣の友人が言うから、「え? 押せ押せでしょ?」と僕が言うと、「そんなのどっちでもいいよ……」と斜め前の友人が苦笑いを浮かべる。
「ところでさ、どんな人なの?」
「あぁ……」と目の前の友人が言い淀んだ。斜めの前の友人が「あぁ、容姿は……」と言ったところで、僕は「今のは愚問だったね」と遮った。
「え? どういうこと?」隣の友人が水を飲みながら聞いてくる。
「ん? 好きな人って可愛いよね」僕が目の前の友人にニコッと笑うと、「え?」と驚いた顔をした。
「好きな人って、会うたびに可愛くなって、どんどん好きになっちゃうよね」
「なに、お前、好きな人いるの?」ニヤニヤして斜め前の友人が聞いてきた。
僕は片思いの相手を思い浮かべて、うっかり喋りすぎたことに気が付いた。
「え? 一般論でしょ?」
「一般論ってなんだよ」隣の友人が笑う。
「で、誰なんだよ?」目の前の友人が聞いてくる。
ワイワイしている僕たちのテーブルの横を、彼女のが通り過ぎて行く。
その時、僕は見てしまった。向こうのテーブルの彼に小さく手を振る彼女を。
君の可愛い人は、ずっと君を見ていたんじゃなくて、僕たちの向こうのテーブルにいる彼を見ていたんだ。
どおりで、向こうの彼と目が合うな〜って思ってたんだよね。
私はむかし、子どもでした。
体が小さくて、いつも大人を見上げていましたし、よく転んで怪我をしたり、泣いたりしました。
王子様と出会ったのは、小学校の鉄棒を、なんとなく飛び越えようと思ったら鉄棒に太ももを激しくぶつけて、地面でのたうち回っているときでした。
「鉄棒は、手でつかんで体を回したりするものなのに、君はなぜ飛び越えようとしたんだい?」
王子様は、無邪気にそう質問しました。
「今は太ももが痛くて死にそうなので、質問は後にして下さい」
私は、そう答えるだけで精一杯でした。
「ぼくは、君のような子どもに会うのが初めてだからびっくりしたんだ」
私は、小学校の先生に発見されて病院に連れて行かれ、診察を受けましたが、とくに骨折もなく、ただの打撲だから心配ないと言われました。
「君は、鉄棒に足をぶつける変な子どもだけど、体は丈夫なんだね」
王子様は、診察室から出てきた私に笑顔でそう言うと、病院を去っていきました。
それから何日か過ぎたあと、小学校から帰る途中で、王子様が道端に倒れているのを見つけました。
「ああ、君は鉄棒の勇者だね。ぼくはお腹が空いて歩けなくなったのさ」
私は王子様を家に連れて帰り、朝食用のパンや、カップ麺や、缶詰を集めてテーブルに置きました。
「こんなにたくさんは食べられないから、君も一緒に食べようよ」
あの頃、両親は共働きで、家には子どもの自分しかいませんでした。
だから、お湯を沸かすことぐらいしかできませんでしたが、王子様と食べたカップ麺は、なぜか特別に美味しかったのを覚えています。
王子様は、私の家に一週間ほど滞在すると、旅に出なければいけないからと言って出て行きました。
その数年後、世界中で疫病が大流行し、さらにその数年後に大国同士が戦争を始めてしまい、世界中が戦争に巻き込まれました。
私は、敵側の核攻撃から何とか生き延びて、焼け野原になった街をあてもなく歩いていましたが、ついに力尽きて動けなくなりました。
「やあ、鉄棒の勇者に十年ぶりに会いにきたよ」
目を開けると、昔と変らない王子様の顔が見えました。
「ぼくは旅先で、その日食べるものがない人や、戦争で傷ついた人にたくさん出会ったけれど、彼らの話をただ聞くだけで、他には何もできなかったよ」
私は、王子様の顔を見て、子どもの頃みたいに泣いてしまいました。
「いまはカップ麺じゃなくて、カレーライスぐらいは作れますよ」
「オツカレサマデシタ。」
窓から聞こえる送迎のレイエス君の声を合図に、電子レンジの扉を開ける。
「たこ焼き?」
両手に沢山のブランド物の袋をぶら下げた彼女が、ヒールを脱ぎながら、俺に尋ねる。
「5個ずつね。」
足りないと言いたげな彼女の表情を、オレンジの光がウォンウォンと照らした。
2つ目のたこ焼きを頬張りながら、彼女は明日の予定について語り出す。
「明日またクリニック。入れるの、プロテーゼ。」
こういう話をするときの彼女はテーマパークにいる子供と同じ顔をする。
「ふーん。」
興味のないフリをして、今のバージョンの彼女との思い出を振り返る。 LEDライトを胸に当てて光らす1発ギャグしか思い出せなかった。
最後のたこ焼きを頬張りながら彼女の顔を見る。
「何?」
笑った彼女のセラミックに青のりが付いているのを見て、どうせ明日の彼女も好きになるんだろうなと思い知らされた。