第219期 #8

traveling

金曜の午後、仕事もはやく片付く。定時に退社。
タクシーもすぐに付かまり跳び乗る。
オフィス街、
「不景気で困ります」。
「どちらまで行かれます?」
「ちょっとそこまで」

ギアはトラベル、アクセルを推して、握ったスティックを右に倒せば。
風に瞬ぎ、ぐんぐんと、雲を昇り。ドライバー越しのガラス濾しには、大きな満月、ウサギが浮かんで射るよ。
人は小さく、街並がワッフル。ティアラなネオンは、春の夜の夢の如し。

歌がヒカル、君をノせて、アスファルトを照らすよ。
空を斬り咲き、どこへ往くのかしら。甘冷えの風と山の向こう。遠くならどこでも。
あれ、何かは別らないけれど、壊したい衝働、急ぐことはないけれど。

「仕事も、運転も、リモートがいいですね。キャンディーは、いかがですか」
織姫が好んだ、黄色い海と星の雫のコンペイトウ。
「お聴かせしたい歌があります」
そんな事、言われちゃうと、汽持ちに拍車かかりますわ。

水モを飛べば、波を誘い、雲を仰ぐ。
若さゆえに、すぐに千ラり、風之前ノ塵に同じ。

胸を寄せ手、いつもより目立っちゃおう。
目的値はまだだよ、いつか見える、大橋とリオの笑画く夜景。
窓を下げ手、全ては気分しだい。
色即是空空即席四季 トゥクトゥクトゥクトゥク タラララ タ

みんな踊りだす時間だ。
待ちきれずに今夜、隠れて居た願いが渦きだす。
こんな、蜜に成る地間だ。
あれ、どうしてだろう、民な、少しだけ不安が残ります。

でも、でも。
彦星が丑を牽いてやってくる。
素敵な何処へ、連れて逝って。
思いは年を越してもなお。

無常人身無病息災 スタスタスタスタ トゥルルル ラ



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