第203期 #2

夜を走る

地球の最後の生き残りの5人は、冷静に暮らしていた。それぞれに血の繋がりはなく、育った環境も、生きていた世界も違っていた。いつの間にか人々は死にはじめ、いつの間にか、この人数に。それでも、その5人の中では争いがある。些細な感情の行き違いから嫌悪感が生まれて、それが迫害にとなる。正しく、イジメだ。この5人の中で1番弱い1人が自ら命を絶つのは、近い将来かもしれない。そうすれば人類最後は4人にとなる。そうなって都合の悪いことがあるのだろうか。人間は5人になっても弱肉強食であり、誰かを標的に気持ちをひとつにする生き物だ。その性質が絶滅を招いていることを、たぶん彼らは知っている。それでも彼らは、それをやめはしないだろう。人間で有り続ける為にと。



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