第20期 #19
運のツキ空の月。
私の癖は反省してしまう事だ。
「持ち越し苦労」。
母はいつも私に言う。
けれどそれがそんなに悪い事なのか私にはわからない。
例を挙げるとあの時もそうだ。
もっと話が上手だったら。
確かに私は彼の女になれたかもしれない。(―確かに?)
だけどそれが一体どうだというのだろう。
或いは彼は悪人で、私が身を滅ぼしていないとも言えないのだ。
空に、黄色いぽっかりとした月が置き去りになっている。
―私は思う。
先の事を心配する能力― 過去を悔やむ能力―
どちらも空想のなかの自分と現実を、秤にかける、愚かな知恵。
後者を恐れる為に、前者を遂行する事も可能!
ひんやりしたベランダの床に膝ついて思う。
心配と後悔は、人の性。
―私は、後者が好きなのだ。