第196期 #3

人生がもしゲームだったら

 人生がもしゲームだったら僕は今すぐリセットボタンを押すんだ。全部始めからやり直して、嫌なことは全部まっさらにして、そうして悔いのないように生きるんだ。

 僕の人生は糞だ。最悪だ。生まれたときから何もかもが決まっていて、どう足掻いたってどうしようもない。努力? 努力して何が変わるんだ。頑張って報われるのは才能があるやつだけじゃないか。

 人生がもしゲームだったら僕は少なくともみんなに馬鹿にされないぐらいの能力を設定するんだ。どんなことでも頑張れば人並み以上になれるぐらいの能力が僕は欲しいんだ。誰とでも対等に付き合いたいんだ。

 この顔だって嫌だ。こんな性格も嫌だ。全て嫌なんだ。

 こんな僕を一体誰が好きになってくれると言うんだ。誇れるものなんて何もない僕を、一体誰が見てくれるんだ。親だって本当は僕のことをよく思ってないはずだ。もっと優秀で、もっとみんなから好かれて、もっと親思いな子が欲しかったはずなんだ。

 人生がもしゲームだったら僕は自分を構成する全てを変えるんだ。顔はイケメンとまでとはいかなくても普通にして、性格は誰にでも優しくて悪いことをはっきりと悪いと言えるぐらい強くするんだ。そうすれば嫌なことなんて一つもないはずなんだ。

 僕はもう間違えたくないんだ。誰も傷つけたくないんだ、傷つきたくないんだ。あの時ああすればよかったっとか、こうすればよかったとか後悔したくないんだ。もっと上手く立ち回りたいんだ。

 人生がもしゲームだったら僕はもう間違えないんだ。何度だってやり直して、いい方の選択肢を選ぶんだ。そうすれば誰も傷つけないで、僕も傷つかないでみんな幸せで、楽しくやってけるはずなんだ。

 僕の人生は本当に糞だ。なんで皆みたいにいいやつになれない、皆みたいに上手く出来ない、どうして僕はこんなにもダメな奴なんだ。一体どうすればいいんだ。誰も何も答えてくれない。

 人生にはゲームみたいに答えはないんだ。何でも書いてある攻略本なんてないんだ。迷いながら、訳も分からず進むしかないんだ。苦しみながらこの人生の終わりを迎えるまで生き続けるしかない。

 僕は僕でしかないんだ。何をどう変えても結局それを受け入れるしかないんだ。本当は全部分かっていたんだ。

 人生がもしゲームだったら、僕は僕になれなかった。こんな僕を受け入れてくれた人とも会うことは無かった。僕はきっと空っぽな人間になっていたはずなんだ。



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