第192期 #3

愛の渇望

「愛が欲しい」
私はそう切実に願うのでした。ちょっとやそっとの愛なんかじゃ足りない、溢れる程に沢山の重苦しい愛を渇するのでした。
けれど周囲は私をおかしいと言う。しかして本当におかしいのは貴方達の方ではないか。
平気で愛すべき人を裏切り、一生を誓いながらも後に別れ行く。
そんなモノが本当の愛だと言えるのか。
私は悲しい。この様に冷めた世界に産まれ落ちたことが。
『愛』というモノがこんなにも軽々しく扱われている事実が。
きっと私はこれからの人生、本当の愛を知らないままに一生を終えて行くのだろう。
愛の本質は、自身も相手も満たし満たされ、互い無しには生きられない程の情愛。どんな者も、その二人の間には入れない。いや、入ることが出来ない。もうそこには二人以外に他者の存在など居ないに等しいのだ。
そんな愛の形の何がいけない?
貴方達は本当の愛を解っていない。『愛』の究極を求めた先にあるモノを何故理解しようとしない。
私は愛を欲する。例え、どんなに醜く泣き喚き、無様に叫ぼうとも愛を渇望する。
その未来が悲劇だろうと、きっと私は『愛』の先を求めることを止められないのだから。



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