第185期 #7

君が好きで。

僕は君が好きだ。毎日花が咲いたような笑顔を見せる君が。
遠くから見つめることしか出来ないほど僕は恥ずかしがりだし、目も合ったことがない。勿論、君に僕に対して特別な感情が一切ないことは分かっている。完璧な片思いだ。
僕は根暗だ。自分でもはっきりと言えるくらいにはそうである。
友人などごく少数で、いつも君を盗み見ては、心の中で微笑んでいるのだ。あぁ、今日も素敵だ。なんて。
明かりもつけない僕の部屋は、まさに性格をかたどったような場所で、僕はベッドに横になって君のことを考える。
もし、君と喋ることが出来るなら。
嬉しくて、きっと僕は君と目を合わせることが出来ないに違いない。でも、君は心優しいからきっと僕を気持ち悪がるようなことはない。にっこりと、いつもの笑顔を見せてくれるに違いない。
そして、僕の想像は尽きることがない。欲望に近いそれをいつもいつも、永遠に考えるのだ。
もし、好きだと伝えられるなら、きっと君は受け入れてくれるに違いない。もしかしたら、好きになってくれるのかもしれない。既に両想いであったらいいのに…。
もし、君に触れることが出来るなら、君の体温はきっと温かいことだから、冷え性で冷たい僕の手も、じんわりと温めてくれるに違いない。
もし、君にキス出来るのだとしたら、僕は恥ずかしくて始終顔が真っ赤になって、君には男らしくないと笑われてしまうのではないだろうか。それでも、柔らかい君の唇に触れる喜びは、それはもう想像できないほどに違いない。
あぁ、あぁ。もしも、もしも君を犯すことが出来るなら。君を優しく包み込んで、吐息を聞いて、君に溺れることが出来るなら。僕は、どうなってしまうんだろう。
君が好きだ。とてつもなく、好きで好きでしょうがないんだ。
一度でいい。僕を見てはくれないだろうか。
そう考えては目を瞑り、目を開いては現実の苦い味を確かめるんだ。



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