第183期 #4
ボカーン!
背後で音が聞こえた。その音は鼓膜が破れるんじゃないかと思うほど、巨大な音だ。
そして同時に、この世の物とは思えない悪臭が鼻につく。
沢山のライトノベルを読み、様々なシチュエーションを知っている僕は、直感する――。
爆発!
背後で爆弾が爆発した!
巨大な音は爆発音。悪臭は火薬の臭い!
だとしたら、これは緊急事態だ。
速やかに、そして適切な行動しなければ死ぬ!
だが、普通の人間のほとんどは命に関わる時、適切な行動をするのは難しい。
しかし、僕は違う。
ライトノベルを読み漁り、そのシチュエーションが起きた時の対処法を脳内シュミレートしてきた僕は、この状況を冷静に対処できる!
くくく……魅せてやるぜ。
周りから厨二、無意味と馬鹿にされ続けていた僕の努力が活躍する瞬間を!
作戦はもう出来ている!
後は実行するだけだ!
爆発からこの間0.02秒。世界でもトップクラス(多分)の思考速度で、完璧な作戦を弾き出した僕は背後を振り返る!
最初に目に映ったのは、父の姿。
見た感じ、負傷は無さそうだが、どこか申し訳なさそうな様子だった。
「父さん! 逃げて!」
「ごめん……」
「どうして謝るんだ!?」
「オナラしちゃった……」
「突然の事態だから仕方ないさ! 大の大人でもこの状況でしちゃう!」
「違う……違うんだ……」
「今そんなことどうでもいいだろ! 今は爆発から避難する事の方が――」
いや、待てよ……?
あと音は……あの悪臭は……!
「父さんの屁の音と、その臭いだ」