第174期 #2

欲望のない世界

あなたは、欲望の塊という言葉を知っていますか?

この言葉を聞いて大半の人が知っていると言うと思います。

あなたは、欲望というものをどう思っていますか? 欲望の塊と聞いて、どんなイメージが湧いてくるでしょうか?

よく、「この!欲望の塊め!」みたいな言葉を、正義の味方的なのが悪者に対して使ったりしています。
そのため、欲望の塊だとか、欲望という言葉を聞いて悪いイメージしか湧いてこないのではないかと思います。

でも、私は違うと思いました。

欲望が無かったら、世界が停滞するからです。

例えばあなたは今この時、呼吸をしています。でも、呼吸を止めたらどうなるでしょうか。

息が苦しくなりますよね? そしてあなたはこう思うはずです。
「呼吸がしたい」「息を吸いたい」「空気を吸いたい」

これは、欲望の一つだと思います。誰でも手を動かしたいですし、足を動かしたいですし、体を動かしたいのです。

そう考えるとどうでしょうか? あらゆる全ての事が欲望のみで動いているのが分かると思います。
無機物はどうでしょうか。

石は動きたいと思いますか。思いませんよね。ロボットだって、人に命令されてようやく動いてくれます。しかし、それは感情的なものではありません。単純に風が吹くのと同じです。

欲望は、人間以外の動物にだってもちろんあります。お腹がすけば食べますし、動きたければ走り回ります。

人間はその点だけゆうと優れていると思います。なぜなら、我慢が出来るためです。
人間以外の動物は欲望のまま行動しますが、欲望を我慢することなら人間はできます。もし出来なかったら私達にとって悲惨な世界となっていたことでしょう。

人間は、学習をすることが出来ます。自分の嫌なことをさせないようにしていこうとします。

なぜなら、自分の欲望を邪魔されないようにするためです。

自分が生きたいと思えば自分が生きれるように努力します。

ご飯を食べたいと思えば、どうすればご飯を食べれるのかを考え行動します。

つまり、欲望→思考→行動→成功、又は失敗 この繰り返しが自分の記憶となり学習となり、そして人生になるのだと思います。

もし、この世界から欲望が無くなったらどうなるでしょうか。

全てが無機物の世界です。そこに、未来は、楽しみはあるでしょうか―?



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