第171期 #4

阿部マリオの冒険

今年の8月だっただろうか、日本国の首相が地球を貫通してリオデジャネイロに時間がないとマリオに変身して「間に合った」と往復政府専用機で地球を一周、こういうのを豪遊というのでしょう。遡ること3年前、同じ首相は『アンダーコントロール』とアルゼンチンへ招致に乗り込んで世界の心配をよそに、平気の平面でよくも言い切ったものだ。私もこのくらい言いきらないと世界は注目はしないと思ったものだったが、今は全く根拠のない言い切り方に開いた口が塞がらない。いまだに続く無責任発言は国会の答弁でも昨年蘇った安保法案でも『国民の生命と財産を守る』よくも言い切ったもので、国の財産と役人や自衛隊員の生命を守るために、国民に強いる法令遵守の義務であり、そのための治安維持の国家を守る戦前の暗黒時代に戻ることも厭わない、知らないふりして食い込んでいく、本当に意味わかっているのか?馬鹿なふりして何とやら。国民はこれではついていけない、首相に命を預ける役人も自衛隊も気の毒である。
10数年前、公共放送のドキュメンタリーの内容が気に入らないからと、同僚の酔っ払い故中川氏と番組放送責任者の理事を吊し上げて、番組内容を歪曲させてしまったり、まるで暴力団のチンピラの振る舞いに驚愕した。相変わらず、痛いところを突かれるとショートテンパーのごとく早口でまくし立てて、言いたいことを言って指摘の矛先を別方向に向ける忍法葉隠の術を繰り出す、マリオちゃん。招致に成功したオリンピックの開催まで首相の座は譲らず、会期終了後はさっさと雲隠するシナリオは自分で書くのだろうか?
自身の派閥の長であったご老人に役に足らない組織委員長をさせて間抜けをさらして、偉ぶるための権威を与え、さらに実務を振りかざす都知事と対決させてさらに赤っ恥をかかせる始末。乗っかる爺も無知の骨頂、全く見てられない。残り3年半、会場建設やIOCや競技団体との調整など、組織委員会の長は役に立つのか、指示を出して責任を持った行動がとれるのかどうか。52年前の東京五輪は国家事業で、技術開発から都市づくりから責任を分担し、費用対効果は終了後の副産物として、まさに命かけて取り組んだ結果、成功したと理解している。『俺がすべて責任を取るから思い切ってやれ』と言える実務リーダーが出てこないとこのようなプロジェクトは絶対成功しないのだ。この一言を言い切れるリーダーが今、日本には必要である。



Copyright © 2016 Gene Yosh(吉田仁) / 編集: 短編