第164期 #4

運命

 この広い世界の中、誰かと出逢うのは、奇跡だと思う。
 こんな詩的なことを言うキャラじゃないのはわかってるんだけど、これだけを言いたい。

 「大好きだよ……」

 そして…………………

 「は?何言ってんの?キモイ」
 強烈な言葉をキミは吐くが、それはキミなりの照れ隠しなんだろう。
 「てか何?アンタとアタシ、敵同士じゃん。いきなり何言っちゃってんの?」
 あぁ、そうだ。
 僕とキミは敵同士。
 だからこそ、僕はキミが好きなんだ。
 禁断の恋。
 上等さ。
 「なんも言わないならやっちゃうよ?いいね」
 そう言ってキミは殴りかかってくる。
 だが僕はスッとキミの拳をよけ、逆に掴む。そしてキミを引き寄せ、抱き締める。
 「――――っ!!」
 驚いたようなキミの顔を見ながら、僕はキミの耳に囁く。
 「大好きだ……。キミがほしい」
 僕の声は、届いただろうか―――?



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