第162期 #8
私はお嫁さんになりたかった
私は小説家になりたかった
私は頭がよくなりたかった
私は優しい人になりたかった
私は、私は。
どれにもなれていない気がする
それは、私の人生と胸を張って言えるのだろうか
教えてください、私はどうすればいいのですか、どうしたら自分らしくある事ができるというのですか。どうしたら夢が叶えれるのですか。この現状から、どうか助けてください
目の前の、自分にすがりつく少女が泣きわめく
自分の口から出た言葉は、自分でも驚くほど冷たい色をしていた
「誰にも助けることなんて出来ないって、あなたはわかっているじゃあないの」
少女は恨みがましく私をねめつける
「あなたがどうにかするしか、ないんだよ」
少女はただ私に視線を送り続ける
恨みがましく、自分を睨み続ける
「自分にすがって何が悪いの」
「自問自答に意味はないんだよ」