第161期 #3

ひとめみた瞬間に

ひとめみた瞬間に感じてしまったの
この人が私を長い暗闇の中から救い出してくれる人かもって
手を握るだけで未来も過去も 視ることができ
人の心の中も感じ取れる凄い人

私ね子供にも恵まれて幸せな筈なのに…いつも不安だったの
親にも愛されなかった私の事 主人は愛してくれているの?かって
貴男の手が心地良くって 力が抜けていく気がした
私の苦しみ全部解ってくれたね。嬉しかったよ


僕と出逢って何か感じたみたいだね。僕も助けたいそう思ったんだ
沢山の人を視てきたけど なんて元気で明るい子だと思ったよ
でも親からの愛情が注がれずに大人になったんだね
いつもいつも自分が悪い子だと思っていた
そんなことないのに君の笑顔は可愛いいのにね


私のお母さんの記憶はいつも怒ってる顔ばかりだった
何より辛かったのは泣かれながら怒鳴られた事
褒められた事なんて無かった。何度も叩かれる画像が出てきた
苦しい。苦しいの。
貴男の大きな手を思い出したら
今迄くれた数々の「魔法の言葉」の温かさを思い出したら
会いたくって 息が出来ないの。助けて欲しいの


僕は何も出来なかったね
ただ視る事しかできない君の過去と未来
君に関わる人達の想いを感じて 伝える事しか出来ないんだ
君の心の中に或る閉じられていた箱を開けた。よかれと思って…
でも嫌な過去を思い出させただけだった
今は君の事 愛している人達がいるよ。気付いて欲しい


貴男は何も出来ないそう言ったね。ごめんね。寄りかかり過ぎたね。
でもねつい私思ってしまうの
一人じゃあないって言ってくれたのに!嘘つき!って


君から去ったのは抱きしめてしまったから。唇に触れてしまったから
なぜだろう…君が欲しいって思ってしまったんだ
だから…助けてあげられない。ごめんね 嘘つきだね

僕自身の未来は視ないけど 確信出来る事がひとつだけある

君次第でまた出逢える

僕は傍にいないといけない女の子がいるんだ
きっと好きなんだと思うその子の事を…


私解っていたの。このまま依存していても何も進めないって
それになぜか思ってしまうの…

きっとまた出逢える

私は愛してくれる主人と子供と共に生きていくね
まだ貴男の大きな手と香りを思い出してしまい苦しいけど


君と
貴男と
再び出逢った暁には
二人で行けなかったパンケーキ食べに行こう
きっと凄く美味しいと思うから
いつかその日が来たらね



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