第160期 #12

銀座・仁坐・賀坐

2016年年始、格別に暖かい新年を迎えました、季節を勘違いした植物が花を咲かして、異常気象は世界を席巻しております。銀座の娘たちも昼間の仕事を持っているアルバイトちゃんはマイナンバー制度に混乱を極めております。専業レデイは個人経営者で確定申告の時期を迎え、必要経費の領収書整理に余念がございません。ママさん始めレデイはいくら稼いでいるかは、知る由もございませんが、日本式の銀座のおもてなしスタイルは世界の各地によっては勘違いされることも多いようです。
日本人の様に奥ゆかしい、おとなしい性格は内に秘めた、色気を粋に感じる精神に宿っているのではないでしょうか。海外の女性のいるお店ではカウンター越しにお酒を提供するスタイルがほとんどで、ラウンジスタイルでお客とソファにアットホームな雰囲気で癒される気持ちにさせる、これはアングロサクソン男子はどこかアジアの国のエスコートクラブと勘違いしてしまうこと、見の振る舞いや優しさに恋してしまうなど、トラブルも結構あると聞いています。そのため、ニューヨークやロンドンなどの日本人ママのお店では日本人客と同伴してくる地元民はOKだが、地元民のみの来店は禁止との御触れを出しているところもあるようです。お店では専業レデイは少ないのですが、アルバイトちゃんでも立派に勤めているようです。
それに比べ銀座ワールドは日本人でも普通のおっさんがTVの夜会番組の様にイケメン俳優のごとくきれいどころをはべらせて酒を飲むという、別世界を経験すると一歩店を出て現実に押し戻され、欲求不満に陥りながらも普通のサラリーマンの単なる酔っ払いに戻される。きつい結末、でもそれがいいのかもしれませんね。また、我々社用族と違いITバブルの寵児の経営者は店の外に出ても現実に戻されることなく闊歩する。ママやお店の娘たちにも店の外でもお客風を吹かせている迷惑ものの様にも見えますね。しかし、いずれもよい御客であることには違いはございません。
今年はオリンピックイヤー、4年後はいずれにしても2020年東京オリンピックに世界中から『おもてなし』を堪能しに世界の銀座めがけて紳士がやってきます。そのため、大和撫子も帰国子女や欧米露のハーフ女子をフロントラインに加えて、極上の癒しと勘違いをを提供すべく準備を整えております。4年後、私は還暦を超えている、もっと深く銀座を堪能できるかもしれませんね、それでは。



Copyright © 2016 Gene Yosh (吉田 仁) / 編集: 短編