# | 題名 | 作者 | 文字数 |
---|---|---|---|
1 | 俺と女 | しょしー | 795 |
2 | 人間って… | 波留乃月夜 | 302 |
3 | ゴミ箱 | 高下aoi | 483 |
4 | 夏至 | 片岡 麻美子 | 552 |
5 | 3つの別れ | 桜 眞也 | 755 |
6 | カフェの面影 | わくわくさんた | 665 |
7 | 植物系女子 | なゆら | 962 |
8 | ねこ | アフリカ | 390 |
9 | きっと愛 | わがまま娘 | 986 |
10 | 急ぐ理由 | 弥生 灯火 | 995 |
11 | ホットミルク | 池田 瑛 | 999 |
12 | 覆面レスラーの夢 | ゐつぺゐ | 997 |
13 | ターゲット | 岩西 健治 | 999 |
14 | 銀座、仁坐、秋坐 | Gene Yosh (吉田 仁) | 1000 |
15 | 日暮れ | 奈月 | 553 |
16 | いつもはじめての男 | たなかなつみ | 711 |
17 | 羽化 | Y.田中 崖 | 1000 |
18 | 男は時計になる | 宇加谷 研一郎 | 1000 |
19 | 「やだ氏」 | ロロ=キタカ | 1000 |
「私が死んだら君はどうする?」
学校の無人の教室、勉強中の俺を見て幼馴染みの女は言った。
真夏だというのに長い髪をくくりもせずにいる姿は暑苦しい。
かちり、シャーペンの芯を少し出す。特にこの行動に意味はない。ただなんとなく、出しただけ。
顔を少し上げれば前の椅子に座って女が俺を見つめていた。
真っ黒な、目。日本人なのだから当たり前だ。だが、意味が違う。何かが、何かが決定的に。
「どうもしないな。」
「そっ、か…。」
ショックを受けたのだろうか。目を見開いて涙をうっすら浮かべていた。
幼馴染みがなんだ。俺はこの女が好きじゃないのだ。自己中心的な、この女が。
「死にたいか。」
夕焼けの光が教室に射し込む。
ほのかに赤みを帯びた女の髪は深刻さを引き立てた。隈のできた顔は、疲労が浮かんでいた。
「構ってほしいのか。」
かちり、またシャーペンの芯を少し出す。そして芯を女の顔に向けた。瞳が揺れた。
これだから女は困る。いつも人といなければ寂しい、しつこい人間。
「……。」
返事は無かった。ならばもう語る意味はない。俺はノートに顔を向けた。
「…ねぇ、」
数分、ほんの少しの沈黙を破ったのは女だった。
顔を上げる。前の椅子に女はいない。どこに行ったのだろうかと少しさ迷わせればすぐに見つかった。
「なんだ。」
窓際に腰掛けていた女は先程と違い、晴れ晴れとした表情を浮かべていた。
「私が死ねば、私は君の記憶に残れる…?」
「は?」
女は笑う。覚悟を決めたように。
窓枠に手を掛ける。その先の行動がようやく理解できた俺は席を立つ。
「ばいばい。」
女の姿が消える。
直後ぐしゃり、落下音。下を覗き込めば赤に染まる女がいた。
死んだのだ。あの女は。
「…残念だな。」
俺は青ざめることなく、助けを呼ぶこともなく。何事もなかったかのように勉強を再開した。
残念だ。非常に残念だ。
きっと俺の記憶に残るため命をかけたあの女の事は一週間後にはすっかり忘れているだろう。
ここに1つのスイッチがある。
押せば食べ物が出てくるスイッチ。
これをチンパンジーの檻に置いてみる。
最初はチンパンジーも怪しんで押そうとはしない。
だが一度押してしまえばもう虜。
押せば出てくるもんだから、食べたいときに押すだけ。
今度は出てくる確率を変えてみる。
10回押せば1個だけ食べ物が出てくる。
それでもチンパンジーは10回押すだけ。
このスイッチの虜となったチンパンジーは、いくら食べ物が出てくる確率を減らしても押し続ける。
20回、50回、100回、200回…。
ついには押しても一切食べ物が出てこないようにする。
それでもチンパンジーは今日もスイッチを押し続ける。
これは、現代で言う【パチスロ】と似ていますね。
「ゴミ箱とは、役に立たなくなった不要なものを入れる箱である。」
ゴミ箱には、毎日のように要らなくなってしまったものが入る。それは過去であったり、人間であったり。「あんなことは忘れてしまおう。」と捨てる人間は沢山居る。自分が失敗したことを捨て、自分が恥をかいた記憶を捨て、ゴミ箱には沢山の人間の”恥”がある。そして、または、社会によるゴミが捨てられた。取引先で失敗してしまった、上司に恥をかかせてしまった。嗚呼、色々な”恥”がまたひとつ捨てられてしまった。
またひとつ、またひとつ・・・。
時には自ら落ちてくる者もある。ゴミ箱にどしんっと低く深く落ちる。ゴミ箱が揺らぐ。
「こいつは、処理するべきなのか。」
「ええ、処理するべきですよ、何せ自ら落ちてきた者ですから。」
未知なる蓋が開いた。
しかし、ゴミ箱は何でもかんでも処理するものだと思わないでほしい。ゴミ箱にも、”心”があるのだ。
「こいつは、処理したくはない。」
そう思うと、ゴミ箱からそいつは放り出され、また還るのだ。
それは、社会の資源ともなり、強い心を生むことにもなる。
貴方は、何でもかんでもゴミ箱に放り出してはないですか?
カラスがなにやらくちばしで転がしているので、なんだろうと思って見るとそれは硬直した鳩の死骸だった。カラスにあちこち齧られている。信号待ちの通勤する人たちはよそでやってくれ、というように見ないふりをしている。カラスはお構いなしに、頭を上下させて初夏の朝日に熱せられたアスファルトに細い血管を引きずり出した。みんなが揃って顔を背けるのは、今朝も清潔なシャツやスーツに押し込めてきた色々なものが刺激されそうで怖いからなんだと思う。
会社からの帰り道、コンビニによる。何を選ぶのが正解なのか毎日買い物をしてもわからない。ビニール袋の擦れる音。線路際のジャスミンの花がくさい。僕のアパートの玄関の土壁は触るたびにぽろぽろと崩れてゆく。こんな部屋には誰も連れて来れないだろう。出会ったばかりの女の人をこの部屋に連れてくるところを想像する。部屋に入るのを待たずにこの壁に押し付けてみようか。その人はぴったりしたスカートを穿いているといいな。畳の上に新聞を広げて、正座をした膝の上で両腕を組んで読む。突然、自分の内側に善良な光があって、その光を誰かに分けてあげなければいけないと感じる。でも誰にどうやって分けてあげればいいかわからないし、こんなこと言われた方も困るだろう。今日もこのまま寝てしまうだろう。電気をつけたまま。
「ああああああ!」
計は目覚まし時計を壁に叩きつけながら絶叫した。時計の針は14時を指していて、多恵との待ち合わせ時刻を3時間も過ぎている。
「と、とりあえず電話を」
計は急いで携帯を操作する。
「・・!もしもし、たえちゃん!?」
「・・別れましょう」
彼女はそういって電話を切った。
「・・・・うわああああああああ!」
「Ahhhhhhh!」
Bob exclaimed while flinging an alarm clock against the wall.The clock pointed at 14:00, and three hours were delayed from the wait time with Samantha, too.
「What can you do...iPhone」
Bob picked up a mobile phone and pushed the touch panel like a brick.
"Hello, it is Samantha"! ?
"..., Bob will part"
She just said good-bye and hung up the phone.
「OーM−G!!!」
「あやや、寝坊しき」
婆は庭の鶏がすっかり走り回りたるを見て目が覚めき。今日は爺との約束がありしを思ひ出し、急ぎて仕度す。
「猛助、爺さんはいづこにゐるにはべるや?」
婆は横で囲炉裏を掃除したる若者に話しかけき。
「もう今日は山へ芝刈りに行ひきよ」若者はそう言ふ。
「あの人は本当にせっかち者なり。いとをかし。」
すと戸が開き爺が家に入りてきたり。
「婆さん、わしと別れむ」
そういふと爺は綺麗なる服を着た若き女子と山へ消えていきき。
「え、いかでに、待ちたまへ」
婆の悲痛なる叫びが山中に響きき。
ふと思い立って、恵比寿のカフェに足を運んだ。昔、付き合っていた恋人が私を待つために時間をつぶしていたカフェだ。
あの日は上手く連絡を取り合うことが出来ず、そのカフェで会うことはなかった。今日も勿論、恋人はそこにいなかった。しかし、一年前の夏、私を想い確かにこの場所に存在していたのかと思うと、何故だか息苦しく複雑な気持ちになった。あの気持ちは、今はどこかに置いていかれ、恋人はその気持ちを忘れている。それは、偶然なのか必然なのか私には分からない。確かなことは、今、恋人は私を想っていないことだけだ。しかし、それで良いのだ。お互いの道を歩くことがお互いのためになることは相互で理解している。結ばれてはならないからこそ惹かれ合ったのかもしれない。禁断の果実には賞味期限があるようだ。
最後の悪夢をのぞけば、全てが美しく永遠と愛すことのできる想い出であった。恋人は最後の最後で失敗を犯したのだ。静かに気持ちの変化を受容したかったのに、恋人の詰めの甘さが私の逆鱗に触れたのであった。一生、怨みたいとすら思った。
何故こんなことになってしまったのだろう。
自分にも悪所があったのだろう。我慢できなくなった恋人は新しい人に心の拠り所を見つけ簡単に気持ちを上書きし、データ保存を行ったのだ。悪である。精神悪党を骨の髄まで愛し、恋愛という名のゲームにのめり込んだ自分は世界で最も愚か者であるように感じた。いや、そうに違いない。恋人は自分が世界一の愚者であることを恋愛の名の付くゲームで教えてくれたのだろう。精神悪党に御礼を言っても良いと思った。
足の裏から根が伸びてきて、みるみるうちに恋人を貫き、マットレスを貫き、床を貫いて地面へ進む。
この段階でまだ恋人はすやすや眠っている。寝息がまだはっきりと聞こえてくる。
根が地について私は身動きができない。
介護の必要を訴えるが、父親は甘やかすなと厳しい。
おそらく内緒でつきあっていた恋人と裸で抱き合った状態だったことが問題なのだろう。
母親がみそ汁を口に流し込んでくれるが、そのまずいこと。それを指摘したらもう流し込んでくれないかもしれない。
恋人は相変わらず寝息を立てているし、この先いったいどうしたらいいでしょうか?
と通りかかったあざらしに訊ねてみた。
根っこがあるってことを忘れているようだねえつこさん、根は栄養分を運んでくれるのだ。
そのまま眠っていればいいってこと。
そう言ってあざらしは自ら土に潜り込んで、肛門から鳩を何匹も突っ込んで息絶えた。
ちょうど春頃には発酵して食べごろになるに違いない。
さて恋人が目覚めたときになんと説明しようか。
当然恋人にも家族がいる。
あまり大きな声では言えないが私たちは不倫関係で、何日も家を空けるとなるとそれは間違いなく怪しまれる。
恋人は夫に、同窓会に行ってくる、と言って私の家にやってきたのだから。
がんばってごまかせても数日だ。
恋人の夫は、それはそれは嫉妬深い人だから、私のことを憎み、包丁で刺してくるかもしれない。
いくら根が養分を運んでくれるとしても、切り刻まれたら死んでしまう。
死ぬ前に叫ぶほど痛い。もちろん避けたい。
とりあえず、起こしてみよう、ねえねえ、ともちゃんともちゃん、おきてよ、ねえ。
恋人は寝返りを打つ。
根に貫かれながら寝返りを打てるもんなんだな、と感心する。
つまりそんなに根は広がっていなくって、私だってちょっとがんばれば根を引き抜けるようになってるのかも。
思ったら実行するのみ。
で、えいって足を持ち上げたのね。
なにかすっぽんと抜けたような感覚、足を見ると、根があって、その先にさつま芋がついていた。
あら、天ぷらにしたらオイシそうって母親はもぎ取ってさっそく水洗いして、揚げはじめた。
ほどなく、おひとつどうぞ、
さつま芋の天ぷらを、先ほどのまずいみそ汁に浸して差し出してくるので、ひとくち食ってみると、
あらこのこってりした油がしみててちょうどいいじゃん。
母親のしたり顔と言ったら。
【愛してる】
冷えた愛撫だと思った。
必要な場所だけを執拗に求める身勝手な行為だと思った。
彼にとっては、グラスに結露した水滴を拭う程度の煩わしさの欲望。
ボールペンを使う為のノックに、それ以上の意味を見出だせないのと同じで、受け入れる事しか出来ない私は自分自身で浄化させて信じるだけ。
けれどもそれは、無理やりに与えられたり奪われたりするのとは違っていて、酷く疲れる。
刺激だけで吐き出す事が出来るように成れれば救われるかも知れないけれど、それは無理だと知っている。
私は私だけの為に生きているのだから、それがどれ程優しくても彼に差し出すものなど何もない。
呻いても、喘いでも、叫んでも、全ては私の為だ。
愛してる?と何度訊いても、彼は私と同化したりなどしないし、共に感じる事があっても、共に信じる事は出来ない。
詰まり、結局は彼の指先が喉元を撫でていて、私はグルグルと喉を鳴らしているだけの現象。
昨夜、どうでもいいことで喧嘩をした。オレが全部悪いんだということはわかっている。
もう3週間近くもいっちゃんとヤッてないって事実に気が付いたら、急にいっちゃんが欲しくなったんだ。仕方ないじゃん、男だし。思わず押し倒したオレに、いっちゃんはオレの腹部を膝で蹴り上げ、立ち上がった。いっちゃんは大きなため息と白い目でオレを見下ろしていた。股間を蹴り上げられなかったのはいっちゃんの配慮だろう。
朝起きたら、いつもと同じコーヒーの香りがした。時間的にいっちゃんは出勤しているはずだ。
ダイニングテーブルの上にはサンドイッチとマグカップが置いてある。マグカップの下にはメモが置いてあった。昨日はごめんね。明後日は早く帰ってくるから、って書いてある。
喧嘩した翌日はいつもそう。オレが悪いのに、いっちゃんのほうが先に「ごめんね」って謝ってくる。
椅子に座って、マグカップを持ち上げる。コーヒーは当然のことだけど冷めてしまっている。冷めてしまったコーヒーは、インスタントではなくてペーパードリップで淹れてくれている。冷めてもおいしいようにと、いっちゃんの心遣いだ。それを知ったのは、一緒に暮らし始めて初めて喧嘩した翌日の朝だ。
多分さんざん迷った挙句準備して出勤してくれたんだろう。片づけまで間に合わなかったみたいで、ドリッパーとかいろいろ出しっぱなしになっていたんだ。
その時は、凄く嬉しかった。朝食を食べながら泣いちゃったもんね。今日もありがとうって思っているけど、あの時の気持ちとは比べ物にならないくらい軽い感謝だ。
いっちゃんはなんで喧嘩した翌日にも変わらずオレのために朝食を作っていくんだろう、とふと思う。そんなこと、考えたことなかった。
でも、朝起きて朝食がなかったら、きっとオレは喧嘩したのを引きずったまま、いっちゃんが帰ってきてもきっと変わらない。同じ家でも1日数時間しか会えないのに、そんな状態だったらきっと謝るタイミングがわかんなくて謝らないだろう。そして、そのまま何日も口もきかないで、顔も見ないで過ぎて行ったら……。そう思ったら、ゾッとした。
初めて喧嘩したあの日も、今までも、多分今日も、いっちゃんはそんなことを思ったのかもしれない。そして、オレと一緒にいることを選んでくれていたんだ。
何もなかったみたいに用意してある朝食は、きっといっちゃんの愛なんだ、って思ったら涙が零れた。
暮れなずむ夕陽を背に、ひとりの女性が街を流れていました。
三十代の半ば頃でしょうか。肌は白く美しいといえましたが、とりたてて美人というほどでもありません。身を装う衣服もありふれたもの。繁華街を進むその彼女の姿は、どなたが見ても一介の主婦といったところです。彼女はある一点のことに突き動かされて、心を急がせていました。 初めて接する景色には目もくれず、たおやかな風のように身体を進ませる彼女。記憶の隅に残っている住所を頼りに、でも迷うようなそぶりは見せずに、一心に急いでいます。離れて暮らす夫のところへと。
彼女は気がかりを抱えていました。
仕事で単身移り住むことになった夫がいるのです。結婚して共に生活を過ごしたのは数年でしたが、少々頼りなく、ついていないといけないという気持ちにさせられる夫が。
朝はきちんと食事を摂っているだろうか。洗濯物のたたみ方を知っていただろうか。寂しがり屋のところがあったけれど、元気でいるだろうか。もしも夫が彼女の心中を読み取れたなら、「おいおい、俺は子供かよ」と呆れたことでしょう。
夫の借りるアパートに到着し、彼女はまず台所に向かいました。1Kということもあり随分と手狭です。連絡もせず訪れた彼女に対し、夫は驚きつつも首をかしげていました。
そんな夫に構わず、彼女は使用感のある水回りを眺めて終えてから、小さな冷蔵庫を開けます。中に入っていたのはレトルト食品が主ではありましたが、しっかり野菜も数種類入っていることを確認します。次いで彼女が向かったのは二層洗濯機が設置してあるベランダ。汚れ物は溜まっておらず、物干し竿や手すりにも埃は堆積していませんでした。
ユニットバス、衣装ケース、寝具。そのどれも彼女が共に暮らしていた時のように清潔に保たれ、整理して収められています。彼女の表情は、どこか憑きものが取れたように穏やかになっていきました。
「おい、一体どうした?」
彼女は夫の声に少しだけ、ほんの少しだけ残念な表情を灯します。でもすぐ柔らかな笑顔を浮かべ、玄関へと向かいました。
「待てよ、もう帰るのか。一晩ぐらい泊まって――」
投げた夫の言葉。彼女の背中をすり抜けて、消えていきます、彼女と共に……
呆然とたたずむ夫。妻が事故に遭い、今しがた亡くなったという訃報が夫に届いたのは数分後でした。
彼女には急ぐ理由があったのです。どうしても、どうしても。
ホットミルクが飲みたいと思って冷蔵庫を開けたが、牛乳が無かった。砂糖も切らした。だけど無性に飲みたい。私はマグカップ片手に出かけることにした。
砂糖を探しに来た。エメラルドに輝く海辺に着いた。砂糖がどこにあるのかと白い砂浜を歩き回る。暫く歩き回ったが、砂糖らしきものは見つからない。海の水は塩辛い。沖でヨットに乗っている人に、尋ね呼びかけても、その人はこちらに手を振るばかり。夕暮れに差し掛かり、夕日が海に揺れ、そして海の中に沈んでいった。もう諦めて帰ろうかと思っていたら、なんてことはない。砂浜がすべて砂糖だったのだ。左手で掬うと砂は氷砂糖になった。右手で掬うと黒砂糖。両手で掬ったら、お目当ての白い角砂糖になった。少し甘めのが飲みたいと思って3個、マグカップに角砂糖を入れた。
次は、牛乳だ。だけど、私がどこかに行くなんてことはない。太陽も沈み、時間もちょうど良い。空を見上げれば満天の星空。その真ん中と流れる天の河。私はそこからコップ一杯の牛乳をもらうだけ。でも、天の河は、ちょっとだけ遠い。私が精一杯に腕を伸ばして、思いっきりジャンプしても届かない。マグカップ片手に飛び跳ねて、角砂糖を落としてしまっても具合が悪い。海辺に梯子でも流れ着いていないかしら、と砂浜を歩いていたら、流れ星が落ちてきた。どうやら岬の先端の方に落ちたらしく、薄ぼんやりと周辺が輝いている。しめた、と思って駆け寄ったが、残念。そこにあったのは桜色した金平糖だった。拾ってみたら、まだ熱く、出来立てということで、一粒口に放り込む。優しい甘さ。さてさて、肝心の牛乳はどうしたものかと思っていたら、いつの間にか三日月が夜空に浮かんでいました。
「満月の方が好きだな」と、せっかくやって来てくれた三日月に向かって言うと、三日月は顔を真っ赤にして膨れだす。クレータがオデキみたいに朱くなれば、飲みごろの良い温度。真っ赤になった三日月をガスコンロのツマミのように捻ってやると、天の河から牛乳が滴り落ちる。空から落ちてきた大粒の一滴を、マグカップにいれる。
砂浜に座って、ゆっくりと角砂糖が熔けるのを待つ。マドラーを持って来ればよかったな、と少しだけ振り返る。だけど、砂糖が熔けていくのをこの星空と波の音を聴きながら待つのも悪くない。怒った三日月も、今は元の色に戻っている。ホットミルクをそっと一口。口の中に、適度な甘さが広がった。
「脱ぎたい」
ずっとそう思ってきた。事務所との契約で私が覆面レスラーになって八年。私は本名でやりたかった。リングネームを否定するわけではないけれど個人的には本名でやりたかったのだ。ところが社長は「お前の顔には華がない」と言ってマスクをそっと差し出した。そして私はその日から覆面レスラーとして生きてきた。
覆面レスラーはマスクを被ってこその覆面レスラーである。だからプライベートで買い物に行っても差し支えない。単にガタイの良い人である。テレビ中継の入った試合にも出たことがあるのに、息子と見学しに行った近所の空手道場で「お父さんもどうですか?」とスカウトされたりした。
日に日に脱ぎたさが募っていった。社長に直談判しに出向いたが「サマーバージョン」とひと言だけ言われ夏のイメチェン用マスクを進呈された。
洗濯されて干されたマスクを眺めながら強風で吹き飛べと念じた。何の意味もない。社長は既にクリスマスバージョンの制作に取り掛かっていて、代わりにそれを被るだけだ。幼い頃に近所の人たちから「可愛らしいお顔ね」と囃し立てられた私の顔はもうない。
私は夢を見た。夢の私が鏡の前に立つとその顔には白い靄がかかって表情が読み取れない。笑っていたのだろうか。泣いていたのだろうか。ひどく空虚な気持ちになった。すると突然場面はリングの上に変わる。夢の私は声援を浴びていた。不思議なことに私は初めて自分の試合を客席で見ていた。
「やっぱり強えな」
隣の客が言った。私はその客に「彼のファンですか?」と問うと、客は「ファンってほどじゃないけどさ、強いから好きだよ」と答えた。リング上の私はいちレスラーとして奮闘していた。試合に勝利した私のもとに妻や息子が寄ってきておめでとうと言った。
目が覚めて洗面台の前に立つ私は私の顔だった。マスクを被って八年、いつか乗っ取られるのではないかという懸念がもうそこにはなかった。夢の中で私は自分の試合を見ながら胸を躍らせたことを思い出す。リングの上の覆面レスラーにそうこなくてはと感じた。私は覆面レスラーだ。干されたマスクを手に取り被った。
「行ってきます!」
@punsuke 通学に使ってるバスの最後部座席に覆面を被った人が乗ってんだけどwww
ぴくちゃー.com/20150903
@mami83 変態乙
@normalformal 新日本橋プロレスのビバラビダじゃね?クソワロタw
半径一メートル以内に入らない遊びが流行っていた。俺たちの始めた遊びはいつしかクラス中に広がった。そうなると俺たちはその遊びの興味が削がれる。だから、ヨシユキに矛先が向くのは自然の摂理のようでもあった。ヨシユキに近づき、一メートルくらいの距離になるとバスケのディフェンスのように両手を広げて円弧を描くようにすり抜ける。そのとき仲間がわざと俺を突き飛ばそうとして俺はそれを必死にかわす。失敗した俺がヨシユキに触ってしまうと、その呪縛は女子(異性)にタッチするまで逃れられない、そんな遊びである。弾みでヨシユキが鼻血を流しても、ヨシユキは血まみれになった歯を見せてニタニタ笑うだけである。
その朝は雨。憂鬱な俺が教室に入ると、その横をディフェンス姿勢の陽子がすり抜けていった。一瞬、俺は何が起きたのか分からなかったが、陽子とそのグループが遠くで俺を見ながら笑っていたので、ははん、あいつら俺を遊んでやがるな、と合点がいった。それなら、と俺は仲間のタケトらがくるのを待って陽子らに攻撃をしかけようと考えた。狙うはクラス全員だ。陽子を狙ったタケトの肩を俺が押すと、タケトは近くにいたカオリにタッチした。カオリは軽く悲鳴をあげた後、猛ダッシュでヨシユキに近づいていく。俺はその方向に突進してヨシユキにぶつかる前のカオリに体当たりした。バランスを崩しながらもカオリはヨシユキにぶつからず上手くかわす。そして、近くにいたトオルにタッチ。トオルは巨大ロボのように拳を握りしめ、甲高い声をあげながら陽子に近づいていった。陽子はトオルのディフェンス姿勢を同じディフェンス姿勢でかわす。体制を崩したトオルとぶつかったユキエの腕が俺に当たる。だから、ユキエはヨシユキにタッチ。ヨシユキは俺を見ながらニタニタ笑っている。どうやら俺をターゲットにしたようだ。そんなの百年早い。俺はヨシユキのディフェンス姿勢をかわす。しかし、今日のヨシユキはいつものヨシユキとは違っている。動きが俊敏なのである。俺たちはほぼ互角のようだ。そんなヨシユキの背中を誰かが押す。それでヨシユキはバランスを崩し俺に触れた。俺は誰かにタッチしなければと思ったが、体の反応はヨシユキの方が数段速かった。ヨシユキはニタニタ笑いながら近くにいた陽子にタッチ。ヨシユキとタケトが俺を見て笑っている。そこで目が覚める。外には静かな雨音。腹痛はないが学校は休みたい。
9月の雨が続く真夏の猛暑に比べ肌寒さを覚えるこの頃、だんだん人恋しい季節になってきました。ぎらぎら太陽の元、真夏のグループ交際より、2人で秋の夜長をしっぽりと過ごすことが銀座の娘たちと過ごす味覚の競演がこれからあらゆる料理のシェフたちも腕を振るってくれる時期となりました。これからクリスマスにかけて娘たちの誕生日が集中して、お祝と称しての夜のシャンパンファイトが繰り広げられる。巨大なお店では2本では足らず、3本入れることもしばしば、あっという間に泡と消えるはかない華燭の宴はこの夜の銀座に似合う光景です。最近は見送りがてら堂々と路チューをしてくれる娘が多く、おじさんは驚きを隠せません。歴史を重ねるお店の中には50年以上つまり、1964年の東京五輪オリンピックの前後の好景気ころ、おもてなしをコンセプトにスタートしたお店が残っております。経営者は当然80歳代に乗るかどうかの世代で、そろそろお店をたたまないと、創業時の記憶も認知できないことになりそうで、平均年齢の高齢化が進んでおります。大ママから中ママ、チイママへそれによりお客の年代も広がっておいますが、超高年齢のお客はそろそろ老人ホームに入らないと、長生きできない時代に突入しており、夜の銀座から、めでたく卒業となる紳士方も多いようでございます。以前もお話ししたかと思いますが、開店時間は大体午後8時ですが、どうしても夜遅くまでは厳しい方々のために6時からオープンは可能で、午後8時には家路につくお客様もいらっしゃいます。では夕食はどうするかと申しますと、取り寄せの食材で腹を満たす方もおり、食べて飲むメニューもございます。黒服のマネジャーさんには調理ができる人間もおり、食いしん坊のママさんは料理を全面に出して、2部制を敷いて、おもてなしのお店もございます。またまた、夕食時に同伴のための飲食とアフターのために明け方まで営業のレストランも多くあり、娘たちは秋の夜長を朝まで堪能して、お客様を気持ちよくさせるマジックナイトが毎夜、繰り広げられます。しかし、リーダーがお飾りですと、どこかの組織委員会会長の様に何の責任も感じない、みっともないお飾りになってしまいます。50年前の東京五輪、その後の各大会の組織委員会の手腕でも学んで戴いて、白紙撤回を繰り返すことの無いよう、お願いしたいものです。世界に大恥をかくことにならないか心配しております。
「爺さん、素麺を茹でました」
或る夏の夕方のことである。すっかり腰が曲がって小さくなった婆さんは、割烹着を身に着けて私を居間まで呼びに来る。
「そうか」
そう言って重い腰を上げる。いつから私たちは互いのことを爺さん婆さんと呼び合うようになったのだろう。若いうちは自分たちが年老いていくことなんて想像もつかなかったのに、今では腰が伸びきっている自分たちの姿のほうが想像つかなくなった。
「わさびと、葱はあるかな」
「どちらも御座いますよ」
「そうか」
生きるということにたいしてどんどん執着心は薄れていく。そうだ、それはまるで素麺をすするようだ、そっけなく味気のない素麺を、惰性でするすると口のなかに流し込むようだ。それは決して苦痛などではない。ただいつからかそれが私の生き方になった。
わさびが鼻の奥でつんと香る。向かいの席で婆さんも静かに素麺をすすっている。
「……ああ、蜩が鳴いていますね」
儚くも美しい蜩の鳴き声だ。それに混じって縁側にかけてある風鈴の音もする。ざるの中の素麺はもう少なくなっている。
「婆さん、まだ素麺はあるか」
「茹でればありますよ」
「頼む」
不思議なことだ。味気ないと思っていた素麺も、私はまだ美味しいと感じることができる。とても穏やかな時間だった。暑さも忘れる、或る夏の夕方のことであった。
最初は気づかなかったのだが。
散歩道の途中にだらだら坂がある。その坂道の途中に小さな公園がある。
そこには男がひとり立っている。人待ち顔の男は、いつもぼんやりと道を眺めている。そして、私を見ると声をかけてくる。
「はじめまして」
薄気味悪く思い、初めて声をかけられたときには素通りした。
それからも毎日毎日、まるではかったかのように、散歩の途中でその男に出くわす羽目になる。男は私の顔を見るたびに声をかけてくる。
「はじめまして」
何度も続くと、こちらのほうも慣れてくる。それどころか、だらだら坂をのぼりながら公園が見えてくると、つい男の姿を探してしまったりする。
ある日、いつもと同じように声をかけてきた男に、私も挨拶を返してみた。
「はじめまして」
それで何がどう変わったというわけではなく、私たちの関係はそれまでとほとんど変わらない。散歩の途中に人待ち顔の男を目にして、お互いに相手に気づくだけだ。
ただ、挨拶をするという習慣がそれに付け加わった。
「はじめまして」
何度会っても、同じ挨拶を繰り返す。もしかしたら同じ男に見えるけれども、毎日別人が立っているのかと考えることもある。男は誰を待っているのか。いつも待ち人には会えているのか。そもそもなぜ私に声をかけ始めたのか。聞きたいことは山ほどある。けれども、私は男にそれを問わない。ただ判を押したように、毎日同じ挨拶を繰り返すだけだ。
「はじめまして」
そうして、今日も一日が終わる。病を克服するために始めた散歩だったはずだが、存外楽しいものになっているのは、男がいつも私を待っているせいだと思う。
そして、私も待っているのだ。明日になってまた男に会えるときを。
君はまだ覚えているだろうか。背表紙にそっとひっかけた脱け殻のことを。
薄暗い書斎の床に寝転がって、君は漫画を読んでいた。私は君に背を向けたまま、二段組の小さな文字を目で追っていた。君は時折私に視線を投げたり、日に焼けた肩の、めくれた皮膚を触ったりしていた。そうやって、自らの背で縮こまっている、緑がかった白い羽が伸びるのを待っていた。私が途方もなく長い物語の千分の一を捲る。君がスリル溢れるアクションシーンのひとコマを捲る。私たちはお互い、好き勝手にページを捲ってばかりいた。
日が落ちた部屋で、伸びきった半透明の羽を少し震わせて、君は欠伸をした。読み終わった漫画は床に放りっぱなしだった。まだ夕焼け色の残る空を、窓の向こうに眺める。羽は次第に乾いて茶色みを帯びていく。すっかり日が暮れてしまうと、私は物語が終盤に差し掛かったことを知った。
暗がりで立ち上がった君は、私よりも背が高くなっていた。
「僕たちはページを捲る度に置き去りにされていく」
君がつぶやき、私は静かに目蓋をおろす。
窓から吹きこんだ風が、机の上に開かれたままの本を、ぱたぱたと忙しなく読み進めていった。羽の模様は葉脈へ、葉脈は一本の木へ姿を変える。指先に言葉を繁らせ、古くなればいったん落として新芽を待つ、その繰り返しで大きくなっていく。茹だるような青の季節に、自分の幹にとまった小さな命が、七日間という一瞬でぱちぱちと爆ぜ、散っていくのを見る。それは本棚ばかりの暗い部屋のなかで、色とりどりの星のように光っている。
慣れない黒いスーツとネクタイに窮屈さを感じながら、十年ぶりにその部屋に入った。エアコンもついていないのにひんやりと涼しい。古くなった紙の匂いがする。机の上にぶ厚い本を見つけた。祖父がずっと読んでいたものだ。僕は、使う人のいなくなった椅子に座って、本の表紙をめくった。
おばあちゃんにもらったサイダーを持って、おじいちゃんのところへ行った。おじいちゃんは毎日暗い部屋で本を読んでいる。おじいちゃんの部屋でサイダーをのむ。甘くて冷たくてぱちぱちはじけておいしい。さっきまでうるさかったセミの鳴き声が、やけに遠くのほうから聞こえる。
ぼくは庭で見つけたぬけがらを、おじいちゃんにあげることにした。いつも読んでいるぶあつい本にくっつけて、あげる、と言ったら、おじいちゃんはせなかをむけたまま、少しわらったみたいだった。
或るとき牛丼屋で彼は考えた。今日から俺は時計になるんだ。彼はそう思った。時計がチクタク動いているのが、とても偉くおもえたのである。時計はがんばっている、時計ってがんばっているなあ。
彼は無性に時計に感動したのであった。
彼はロマンチストなのだろうか?
いや、彼はロマンという言葉すらこの十年のあいだ、一度も心に思い浮かべたことはない。現代アートなる単語については目にしたこともなかった。彼はよくいえば真面目に、悪くいえば無教養に生きてきた。大事業を達成したわけでもなく、幸福な家庭を築いたわけでもない。教養を身につけようともとくに考えてこなかった。そもそも彼は毎日忙しかったのだ。自分のやるべき仕事があって、ひとまず夢中でそれをやっていると、一日はアッという間に終わった。一日は一週間となり、一週間は一年、やがて十年がすぎていて、彼は三十もすぎていたのだった。
「時計になるにはどうしたらいいんだろう」
彼はビールをゴクゴクのんだ。普段、チビチビとしか飲まなかった彼は、自分が時計として生きることを考えると、気が大きくなってゴクゴクのむのだった。
「時計ってやつは、チクタクがんばっている。えらいやつだ。実に、えらいやつだ。俺は時計が好きだよ。止まらないのだもの。それでいて、やってることは単純なんだもん」
彼は仕事が終るまでは人間でいよう、仕事がおわれば時計になろう、と決意した。そして牛丼屋をでるころ、彼はさっそく時計になっていたのだった。
ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。
彼は何も考えない。時計は余計なことをしゃべらないのだ。同じ間を刻んでいくのみである。
ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。
仕事と時計に生きる彼は、自分が幸せであるとか不幸であるとか、自分とは何者かや在るべき人生とは、といった問いとは無縁になった。それまでだって趣味があったわけではなかったが、あるとき彼はヨガと出会うことになった。
ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。
時計でありつつヨギーであることは矛盾しない。彼は身体を規則正しく呼吸させて動かすことで、より本物の時計にちかづけたような気がして、ヨガにはまっていった。
そのうち、モテる人生とは無縁の彼のまわりにいつのまにか美女たちが集まるようになった。
「彼ってクールよね。他のオトコとはまったくちがう」
スタイルのいいヨギーニたちは彼によく相談するようになった。
ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。ぴ。
彼は時計になって聞く。
野田氏と書いて「やだ氏」と読むのだそうである
競泳の選手だったそうだ。ライバルの守準(まもるじゅん)氏とも競い合いドナドナを歌いながらナンバーツーのやだ氏。
O足元の高さに冬の蚊が居れば読書を止めてトイレを出づる
O空中を足が踊れば着地点無くして更に踊る足かな(8月末の想い出)
O灰色の車が当たりさうになるカローラに乗る私の体(カフェファイヴの帰り。白山交差点にて)
O沢山の莢(さや)を並べて火を付ける庭の輝き私が作る(昨年度の想い出。小豆の莢。因みに今は2011年11月28日(日))
O水澄めば滝の飛沫が顔に付き句作いよいよ新境地する(「新境地する」?これは「新境地に入る」ではないか?とやだ氏は思ふ)
O木の島の木の大合唱に木の葉落ち道の湿りにへばり付きたり
O沢山のサイトを巡り穴を出す穴を開ければやる気が失せり(「穴を出す」は締切に間に合わず、その月が欠句に成って仕舞う事。ギャンブルの「大穴」では無い。「やる気が失せり」と言っても大袈裟な表現だと思うとはやだ氏の弁。)
O一吹きでテープを直しドイツ語はメッケル少佐坂の上の雲(今は二階に置いてあるが、嘗て一階に置いてあった、あの買って直ぐCDプレイヤーの部分が壊れたCDラジカセ。土曜日の夜、炬燵の出してある部屋でNHKの「坂の上の雲」の総集編を見て居たのだ。恐らくテープの部位も壊れかかって居て、殆どラジオの部分しか聞けなくなって居たCDラジカセを自らの呼気で埃を払う事で一時的に使えるようにしたとの事だろうとはやだ氏の解説。「テープを直し」は詳しく言うとテープの部位を直しと言う事。カセットテープを挿入する部位を直したと言う事であるとやだ氏は歌意を説明した)
O突風が吹けば私は対抗し冬空の元炎のランナー
O冬の日に薄着で家の中走る
ここ最近ずっとですね、3,4日ぐらい。もうちょっと前からでしょうか。おっとこの句は俳句バトルに投稿して居ましたね、と言う事は本名の「石川順一」でアップされて居ますね。混乱が起きるといけないので、一言断って置きますよとやだ氏は明かされました。
やだ氏は競泳から業種転換して歌詠みをやって居たかと思ったら、何と俳句も詠んで居たのですね、ライヴァルのまもる氏も刺激を受けて短歌や俳句を始めて頂ければ、私もますますやる気がでんるんじゃがとはやだ氏の弁です。最後にやだ氏の句をいくつか。
O着ぶくれも・・