第156期 #14

銀座、仁坐、秋坐

9月の雨が続く真夏の猛暑に比べ肌寒さを覚えるこの頃、だんだん人恋しい季節になってきました。ぎらぎら太陽の元、真夏のグループ交際より、2人で秋の夜長をしっぽりと過ごすことが銀座の娘たちと過ごす味覚の競演がこれからあらゆる料理のシェフたちも腕を振るってくれる時期となりました。これからクリスマスにかけて娘たちの誕生日が集中して、お祝と称しての夜のシャンパンファイトが繰り広げられる。巨大なお店では2本では足らず、3本入れることもしばしば、あっという間に泡と消えるはかない華燭の宴はこの夜の銀座に似合う光景です。最近は見送りがてら堂々と路チューをしてくれる娘が多く、おじさんは驚きを隠せません。歴史を重ねるお店の中には50年以上つまり、1964年の東京五輪オリンピックの前後の好景気ころ、おもてなしをコンセプトにスタートしたお店が残っております。経営者は当然80歳代に乗るかどうかの世代で、そろそろお店をたたまないと、創業時の記憶も認知できないことになりそうで、平均年齢の高齢化が進んでおります。大ママから中ママ、チイママへそれによりお客の年代も広がっておいますが、超高年齢のお客はそろそろ老人ホームに入らないと、長生きできない時代に突入しており、夜の銀座から、めでたく卒業となる紳士方も多いようでございます。以前もお話ししたかと思いますが、開店時間は大体午後8時ですが、どうしても夜遅くまでは厳しい方々のために6時からオープンは可能で、午後8時には家路につくお客様もいらっしゃいます。では夕食はどうするかと申しますと、取り寄せの食材で腹を満たす方もおり、食べて飲むメニューもございます。黒服のマネジャーさんには調理ができる人間もおり、食いしん坊のママさんは料理を全面に出して、2部制を敷いて、おもてなしのお店もございます。またまた、夕食時に同伴のための飲食とアフターのために明け方まで営業のレストランも多くあり、娘たちは秋の夜長を朝まで堪能して、お客様を気持ちよくさせるマジックナイトが毎夜、繰り広げられます。しかし、リーダーがお飾りですと、どこかの組織委員会会長の様に何の責任も感じない、みっともないお飾りになってしまいます。50年前の東京五輪、その後の各大会の組織委員会の手腕でも学んで戴いて、白紙撤回を繰り返すことの無いよう、お願いしたいものです。世界に大恥をかくことにならないか心配しております。



Copyright © 2015 Gene Yosh (吉田 仁) / 編集: 短編