第153期 #7
昔、中国の或る都市に一人の少女が居た。少女は死刑囚でだった。もともと彼女は売られた女であり、売春婦になるはずだったが、宿の主人が少女に客をとらせるため、手ほどきをしようとしたら、反抗され、性器を噛まれさえした。都市の有力者である彼は激昂し、彼女をいたぶった後、死刑にするよう企てた。
少女は石畳に横になり、這う蟻を潰していた。牢は退屈であったが、恨みを育てるには格好の場所だった。彼女がいる牢は、死刑囚用の牢であり、少女とランプと死んだ虫の他には何もなかった。格子の前に宿の主人が現れた。彼は手に紙に包まれた何かを持っていた。横になっている少女にぶつけられたそれは、少女の母の腕でだった。しかし、少女は無反応であった。反応すると彼は喜ぶだろうと少女は思ったのである。しかし、彼は少女は発狂したのだ、と思い、笑った。暫く少女を観察した後、彼は去った。暫く死人の腕を見つめた後、彼女は眠った。
少女が目覚めたとき、既に異変は起きていた。都市の政務官の例の宿での会合に、農奴の軍勢が押し寄せ、その場に居たものを皆殺しにしたのである。少女の想像は現実のものとなった。宿主も惨殺されたのは言うまでもない。先導者は少女を救出した。というのも、彼は少女が牢に連行される様を目撃していたからである。少女はひどく衰弱していたが、回復した。
先導者は、帰る家のない少女を養子に、立派に育てた。