第152期 #12
ちょっと早めの夕食で牛丼を食べて居るとすごい音量でシャッターが下りて来て高得点句も響きだした。「一山を絞りつくして滝落つる 松村洗耳 父の日や凹みし鍬の握り艶 ジロー 露天商「風はおまけ」と風車 渡邉静風 東京がよく見える日の袋掛 水戸吐玉 スカーフを初夏の長さに結びけり 樋口紅葉 一人泣いて皆叱られるこどもの日 きわこ 退院の妻はしづかに蕗を煮る 田居吾十歩 貼れるだけ貼って五月の掲示板 吉原波路 サングラスいつもの街がみんな嘘 泰山木 古民家の暗がりにある花の冷 遠藤甘梨 豆の飯ふわりと母の戻りくる 田居吾十歩 憂きことやざくりと切りし春きゃべつ 廣瀬布美 加齢とは静かに速し花は葉に いもけんぴ のどけしや一本指で弾くピアノ 博石 針箱に妻の旧姓春惜しむ 水谷よし 駅前の一方通行つばめ来る 菊鞠潤一 幸せを手に転がしてさくらんぼ 山田梦二 少年のまどろみに似て枇杷青し 翠雲母 ここだけの話横切る黒揚羽 平野悠里 金魚にも母の告口一人っ娘 昌司 廃線は陽炎の中を曲がりゆく 新井国夫 耕運機馬の貌(かお)して休みをり 大塚正路 もう二度と戦せぬ国武具飾る 遊人(ゆうと) 地下駅を出れば祭りのど真ん中 遠山悟史 少女らの鎖骨のくぼみ聖五月 福々 そら豆のひよつとこ面にかるく塩 風々子 その中の一つは遠出しゃぼん玉 大野ゆう子 たくさんの素足が見えて爆心地 宮本悠々子 足音に齢のありて半夏生 石川秀也 麦刈りて遠山少し近づけり 花泉 白球のまっすぐはねる立夏かな 牧野晋也 岩壁をくすぐるてふの薄さかな けんG キリストにすべて打ち明け夏の空 快風 陽をためて百面相のシャボン玉 彌助 麦の穂の百億のとげ空を刺す い特にマネキンや眼のやり場無き更衣 ひろや やり烏賊の肌透き通る薄暑かな 酸模(すかんぽ) ひよつとして春愁の中かも知れぬ 北浦日春 風孕み溯上の構え鯉のぼり 長野遊 水満ちて田毎に赤き西日かな 玉緒 かたちいま整えている花筏 takato17 尊徳の焚き木の上に花吹雪 米鮫夢猪 島の子の旅立つ波止場花菜風 倉基七三也 逃げ水を追ふやうな恋もう二年 雅風 むき出しの白き二の腕夏来る 晴耕雨読 青い目の園児も担ぐ神輿かな 窓野斜光 薄皮のぬるりと剥ける春の昼 佐藤佳菜子 いとほしき声も朧の水枕 佐藤佳菜子 禅僧の生まれ変わりや雨蛙 徳田呑気・・・」