第151期 #7

戦争

A君が公園の砂場に創った大きなお城のある街。
ガキ大将のB君が悪戯に足で街の外れの山と川を蹴散らす。
「折角綺麗に出来たのに」とA君はワンワン泣く。
A君のお兄ちゃんが後ろからB君にドロップキック。
「うわ」っと悲鳴をあげて砂場に倒れるB君。
それを見たB君の母親が、A君のお兄ちゃんに注意をしにズカズカと砂場を渡る。
街並みを踏んだまま、甲高い声でA君のお兄ちゃんを叱るB君の母親。
そこへA君の母親が「いや悪いのはそちらのお子さんじゃないですか」と母親仲間と一緒に現れる。
B君は立ち上がって、A君のお兄ちゃんに向かっていく。
母親同士が罵り合う横で、取っ組み合いの喧嘩をするB君とA君のお兄ちゃん。
A君は泣いている。
「うるせぇぞお前ぇら」と、酔っ払いが砂場に乱入し、傘で母親二人を叩く。
悲鳴と、怒声と、泣き声が交じる。
城は、崩れた。

それを公園の隅のベンチでただずっと見ていた、僕。
さて、悪いのは、だーれだ。



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