第146期 #12

銀座、仁坐、任坐

今週はいらっしゃる?、さあ、顧客の地元は新宿、会食の予定はあるが、それから2次会を銀座とは長距離移動2-3名なら可能だが、中華料理丸テーブル8名〜10名となると、タクシー2台の移動、こりゃ大変だ。例のミニクラブは「サウダージュ」倖ママからのメールに微妙ですね。もしかしたら連絡すると答えた吉田であった。3月10日木曜日、中華レストランの食事は盛り上がり、結果、2名以外は2次会へタクシー2台分乗で銀座6丁目へ向かった。入店後カラオケが始まったのは11時過ぎで、6名のカラオケマンは2組に分かれ、対抗歌合戦よろしく、クマさん、ぞうさんチームに別れ、あらゆるジャンルに合計40曲、あっという間に午前3時、途中で2名は帰りましたが、最後まで4名で歌いつくし、午前3時半には「サウダージュ」を追い出されたのであった。以前このメンバーはニューヨークマンハッタン49番街でも出張時に合流した猛者である。49番街は日系のクラブが並んでおり、足蹴に通う日本人を49ers(フォアテーナイナーズ)と揶揄したものである。銀座は飲み歩く者たちをクラブサーファーと称して今回の一ヵ所定住型と違い短時間移動の梯子族の2種類が存在している。どちらも3〜4の行きつけを持って、1か月に数回繰り出している。一晩で使う金額はどちらも同程度で、対抗歌合戦は珍しいがたまには大人数で豪遊する、打ち上げなど、特別なご褒美に来店することがあるのである。出席者たちは昨晩の検討を湛え、次回もよろしくとお礼のメールを配信終わったのが3月11日金曜日午後2時頃であった。吉田もメンバーからのメールが出そろったところで、返信を書こうとしたときに、震度5の東京では大地震の波状攻撃が開始されたのである。倖ママはこれから起きようとベットの中であった。地震の揺れで目を覚ますのは初めての経験。自宅内の被害はなかったが、今夜は営業できるか、どうしようか、途方に暮れる、吉田の仕事は国内外の運送に関わっていた。報道の映像が世界中を駆け回り、世界で最大級の地震と津波の状況が手に取るように目に焼き付いて、とある国の支援の物資の輸送は早かった。週末に貨物を到着させるので、東北の各地の状況を在日大使館に調べさせ、車両を抑える指示が日曜日中に依頼が入った。原発の事故発生の前である。実際の輸送は宮城、岩手、青森と輸送手配を行った。壮絶な2週間を過すのである。



Copyright © 2014 Gene Yosh (吉田 仁) / 編集: 短編