第139期 #6
旺知大学経済学部一般入学試験合否通知。
今朝、アパートのポストに入っていた郵便物だ。眠気まなこで新聞を取って来るという朝の日課を、普段通り忠実に行っていたが、こいつを見た瞬間に一気に目が覚めた。
新聞紙と通知を持って一目散に居間へと舞い戻り、封を開け、そして愕然とした。
――不合格。
真っ白の紙にただその一語だけがデカデカと記されているという、アニメ的且つわかりやすい表記では当然あるわけでなく、「残念な結果に相成りましたが、これをバネにより一層の精進をして頂くことを切に願っております」といったパソコンで量産される定型文などの上っ面だけ意識した、至極どうでもよく、こまごまとした文章の後に「不合格」とあった。
いや、これは別に礼儀として書いているのであって、気にしたところでどうこうなるわけではない。そんなことはわかっている。まあ、まずもっとも気になる結果を目にして、落胆した後、定型文を読むにつけ、落第したショックを払拭することができずに、腹いせ変わりに定型文の存在価値について批判した、といったところか。
朝日が差し込む北側の窓を、正座をした姿勢のままぼんやりと眺める――。
カーテンが、日差しによって透けていた――。
ああ――。なんてことだ――。これから俺はどうすれば――。
頭の中は将来への不安で一杯だった。そんな俺の気持ちを察したのか、声をかけるように電話が鳴った。
「はい……」
「あ、すみません間違えました」
間違い電話だった。